AEDの「有効性、必要性、安全性」に異議アリ?

学校へのAED導入に反対

<文/砂澤陣>  今では、駅やデパート、役所、学校など、さまざまな場所にAED(自動体外式除細動器)の箱を目にする。AEDとは、止まった心臓に電気ショックを与えて、不整脈を正常な状態に戻す医療器具である。AEDは公共施設などでの設置が広がり、救命活動に生かされたケースが全国で報告されている。  道医療政策課によると、北海道では医療政策などの検討機関である「総合保健医療協議会救急医療専門部会」が、2006年に、道に対して自治体庁舎などのほか、学校など不特定多数が利用する施設での設置が望ましいと提言。道もAEDの普及が望ましいとの立場で、道内の保健所などを通じて啓発活動を展開し、道内に設置されているAEDは急速に普及が進んだ。  それにもかかわらず、AEDの学校への配置について、「一方的な導入に反対する」との方針を表明したのが、北教組である。

「医療行為」だから配置に反対?!

 北教組はなぜ学校への配置に反対したのか? その理由は驚くべきものであった。 ① AEDの配備よりも、学校の安全体制づくりなどが主体である。 ② AEDは「医療行為」であり「有効性、必要性、安全性」に疑問がある。  そのため、教員に対して「講習の強要などさまざまな問題が生じている」ことを理由に、「一方的導入に反対していかなければならない」という姿勢をとった。さらに、AEDは万能ではなく、一般的には成人向けで8歳未満の子供に対する使用が禁止されているため、小学校低学年には使えない、水の事故で胸部が濡れている時は有効でなく、まれに火災を起こすため、「学校現場でAEDに過大な期待をするのは問題」であり、導入については慎重な対応が必要だとのことであった。  たしかにAEDは医療行為だろう。しかし彼らは、なぜAEDが公共の場におかれているのかということに、考えが至らないのだろうか? 当然それは、専門知識のまったくない人でもいざという時に使えるようにするためだ。  実際、スポーツの部活動や試合中に心停止で死亡したり、AEDにより救命されたケースも全国的に報告されている。もし生徒が学校内で倒れ、AEDがあれば助かったかもしれないのに、AEDがなかったばかりに亡くなってしまったとしたら、北教組の先生方はどのように責任を取るつもりなのだろうか。  また、AEDは小学校低学年にも使用できるし、胸が濡れていたらタオルで拭けばいいではないか。AEDが火災を引き起こす危険性についても、可能性はゼロではないだろうが、寡聞にして今までのところAEDが火事を起こしたという話は聞いたことがない。だいたい、学校にあるアルコールランプやガスバーナー、ストーブよりも火事を起こす頻度が高いとはとても思えない。  文科省発表の学校におけるAEDの設置状況調査データによれば、幼稚園や特別支援学校を含めた全学校のうち「AEDを設置している」もしくは「AEDの設置を予定している」と回答したのが、2008年は49.1%だったが、2013年は約92.2%となっている。AEDの学校現場への普及がいかに急速であったかが分かるとともに、北教組の方針が全く誤っていたことが証明された。  学校の安全体制をつくるためのAEDの設置であり、それこそ子供たちにAED設置の理由と使い方を教えることが、教員としての務めであろう。 【砂澤陣(すなざわ・じん)】 昭和38(1963)年生まれ。彫刻家砂澤ビッキの長男。ビッキ文様を継承するとともに、ビッキ作品の修復・保全活動、さらに自らも木工製品の制作を手がける他、注染で仕上げる「日本手拭い」の図案も手がけている。ブログ「後進民族アイヌ」でアイヌの自立を訴え、アイヌ利権とアイヌ史研究の偏向性の問題を告発し続けている。最新刊は『北海道が危ない!』(育鵬社)。
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