「日本で一番悪い奴ら」北海道警察VS日本共産党

日本警察史上最大の不祥事

<文/砂澤陣>

 今夏、『日本で一番悪い奴ら』という映画が公開された。北海道を舞台に、綾野剛扮する正義感あふれる若手刑事が、先輩の指導を受け、成果を得たい一心で次第に覚せい剤取引や拳銃売買などの悪事に手を染め、道警のエースとなり、やがて堕ちていく半生を描いた作品だ。

警察 本作の題材となった、「日本警察史上最大の不祥事」とされた「稲葉事件」は、2002年に北海道警察で実際に起こった事件だ。映画では北海道警察の組織的な裏金作りや不祥事についてもリアルに描かれている。

 道警は稲葉事件の翌年2003年には、「北海道警裏金事件」を起こしている。この事件は、北海道新聞の調査報道で、北海道警察が過去長期間において不正経理を行っていたことが発覚。北海道新聞が特集を組んで道警を徹底追及したことにより、道警はついに全国で初めて組織的裏金づくりを公式に認め、約3000人を処分し、10億円近い巨額資金を国と道に返還するという大規模不祥事事件となった。

 近年の道警は、数々の不祥事で世間を騒がせ、映画や書籍に題材を提供しているが、かつて、別な形で事件になったことがあった。1952年に札幌市で起こった「白鳥事件」である。

共産党員らが道警部を射殺!「白鳥事件」


 戦後の日本共産党は武装蜂起による革命を実現するために、「中核自衛隊」という名称の軍事組織を作り、札幌市郊外の山中で、射撃訓練、手榴弾の実験も行っていた。また、「人民艦隊」という名の中国や北朝鮮へ密航するために編成された密航船群も組織していた。

 こうした共産党の体質に全国で非難が起きる中で、過激化する共産党の取り締まりをしていた札幌市警察の白鳥一雄警部が1952年1月、自転車に乗って帰宅中に、拳銃で撃たれ即死するといった事件が起きた。白鳥事件である。

 白鳥警部が射殺される前年、警部の元に赤いインクで書かれた脅迫状が届けられていた。

「昨年はきさまのおかげでおれたちの仲間が監獄につながれた。この恨はきっとはらす。――おれたちは極めて組織的にきさまをバラしてやる。」

 社会に大きな衝撃を与えたこの事件後、日本共産党は、政治団体であってテロ団体ではないといった主旨の声明を出した。しかし、北海道大学構内などでは、日本共産党札幌委員会の名で、「見よ、天誅遂に下る! 自由の兇敵、白鳥市警課長の醜い末路こそ、全ファシスト官憲どもの落ちゆく運命である」というビラがばら撒かれた。

 この事件は、共産党札幌地区委員長の村上国治に最高裁で懲役20年が確定し、一応の決着を見るも、共犯とされた北大の学生らは静岡県の焼津港から共産党の人民艦隊によって上海に亡命した。

日本共産党は今でも破防法の主要な調査・監視対象


 他にも日本共産党が関与したとされる反社会的行為が全国的に非難を呼び、1952年の総選挙で共産党は全議席を失った。この年、国会で破壊活動防止法(破防法)が制定された。破防法における破壊的団体の規制に関する調査を行うのは公安調査庁だが、発足当初から一貫して日本共産党を主要な調査・監視対象としている。

 しかし、共産党は道内に多く存在した鉱山、炭鉱に戦前から存続していた「友子(ともこ)」(炭坑労働者の共済組織)なども労働組合に取り入れて、GHQによるレッドパージ(赤狩り)をくぐり抜け、根強く党員を増やしていった。

 特に江戸時代から続いていた友子制度は、労働組合以上の団結力と組織力を有しており、友子が組合に加わったことが、今の北海道に存続する労働組合の体質の基礎になったと言ってもいいだろう。

 白鳥事件については、松本清張の『日本の黒い霧(上)』(文春文庫)で詳しく取り上げられているので、興味のある方はお読みいただきたい。

【砂澤陣(すなざわ・じん)】
昭和38(1963)年生まれ。彫刻家砂澤ビッキの長男。ビッキ文様を継承するとともに、ビッキ作品の修復・保全活動、さらに自らも木工製品の制作を手がける他、注染で仕上げる「日本手拭い」の図案も手がけている。ブログ「後進民族アイヌ」でアイヌの自立を訴え、アイヌ利権とアイヌ史研究の偏向性の問題を告発し続けている。最新刊は『北海道が危ない!』(育鵬社)。

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