蓮舫民進党代表の二重国籍問題と激変する世界(第4回)

駅

駅には中国語の漢字も多くみられる

影響を与え合う世界と日本

『世界と日本がわかる最強の世界史』の特徴は、世界は時間と空間を超えて現在にまで繋がっていることを具体的に書いていることです。だから、アメリカのトランプ大統領の登場や中国をめぐる最新の情勢まで書き込んでいます。  また、世界から影響を受けた日本ということだけでなく、日本も世界に対して影響を与えているという点に言及しているのが、他の世界史本とは違う点です。  私たちは、世界史を学ぶうえで、日本が世界と繋がっていることを正しく理解するべきです。それに加えて世界史の流れの中に、等身大の日本をきちんと位置づけることが重要で、そうすることで世界をより正確に把握できると思います。

仏教の広がりを知る

 例えば、仏教は紀元前6世紀に起こったというのが歴史教科書の記述です。しかし、現在まで広がる仏教がどういう経路で日本にまで伝わってきたかを知ることのほうが、日本人にとっては、より大事なことでしょう。  仏教が広まったのはアショーカ王がインドで国教にしたことが大きなポイントですが、アショーカ王の王朝はアレクサンドロス大王がインドの端まで遠征し大帝国を築いたことの影響で成立しました。その後、いまのアフガニスタンであるガンダーラ方面で大乗仏教が成立し、南北朝時代の中国で流行り、南朝から百済、そして日本に入ってきます。  仏教伝来により、日本では、建築、工芸品、彫刻、音楽などの文化が栄えました。つまり、仏教が入ってきたことによって日本が文明国となったのです。それまでの日本は原始国家といっていい。法隆寺ができたのも仏教が入ってきたからで、アレクサンドロスの遠征がここまで繋がっているということができます。

中国で使用される日本の漢字

 漢字も中国から日本に入ってきたのは日本人なら誰もが知っていますが、近代になると、日本から中国に外来語として漢字が入っていきました。  中華人民共和国の「人民」も「共和国」も日本語です。リパブリックの翻訳として日本で「共和国」という言葉をつくり、エンパイアの翻訳で「帝国」をつくったのです。ここ150年は、漢語がもっぱら日本から中国に渡っている事実が非常に大事です。  そのほかでは、明治維新は、西洋文明に基づいた国をアジア人でもつくれることを教えました。同じく、高度成長も日本が世界革命を起こさなくても発展していくということを示しました。これらは、日本が世界に多くの影響を与えたのですが、いずれも、世界史を俯瞰するとよくわかることです。

歴史の全体像を捉える

 3月に、本書の対の企画である『日本と世界がわかる最強の日本』を出版します。その本では、今回の『最強の世界史』とは反対に、日本史の流れをベースに、各時代に起きた世界史の出来事を記述しています。2冊をともに読むことで、歴史の全体像を捉えることができるようになっています。  私たちが自分の国のことを論じるには世界のことを知らなければいけません。一方で、世界を知るためには、逆に日本のことも知る必要がある。どちらも大事なのです。日本と世界を正しく認識するためにも、公平な視点で書かれた歴史の事実を幅広く学ぶ必要があります。 【八幡和郎(やわた・かずお)】 1951年滋賀県生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省(現経済産業省)入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任後、現在、徳島文理大学大学院教授を務め、作家、評論家としてテレビなどでも活躍中。著著に『世界と日本がわかる最強の世界史』『皇位継承と万世一系に謎はない』(ともに扶桑社新書)、『誤解だらけの京都の真実』(イースト新書)、『最終解答 日本近現代史』(PHP文庫)ほか多数。
世界と日本がわかる 最強の世界史

歴史を戦略的に捉えてこそ日本の進路が見えてくる!

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