日本の歴史 本当は何がすごいのか【第11回:西洋による世界支配を終わらせた大東亜戦争】

靖国神社の桜(縮小)

靖国神社の桜

アメリカは当初、戦後の日本を社会主義の国にしようと考えていた


 いまから考えると、西洋諸国を東洋から撤退させたこの大東亜戦争こそ、世界大戦の時代を終結させることにつながったというべきでしょう。ヨーロッパの撤退という、19世紀以来の世界支配の形を完全に変えたのです。アヘン戦争からはじまった東洋における西洋支配は、アメリカを除いて終焉しました。すべて引き込まれた戦争だったとはいえ、日本は世界を変えたのです。その意味でも、これは太平洋戦争ではなく、大東亜戦争であったのです。

 これまで軍部が暴走した戦争と、あたかも引き込まれたことを無視して、日本が能動的に戦争をしかけたような解釈で、戦争の時代が語られてきました。これを変えなくてはなりません。日本は決して好戦的ではないし、残酷なことを平気で行う民族でもありません。これまでの対外戦争はすべて、日本からしかけたものではない。むろん戦争中は、作戦の中で攻撃的なものはありました。それは戦争ですから当然です。しかし戦争を開始する理由はすべて受け身であったのです。

 大東亜戦争をはじめたとき、それをニュースで知った日本国民の大多数は、これをやむを得ない戦争と支持しました。アメリカと戦争をしても、その物量で勝つことは不可能であることは誰しも感じていたことです。しかし負け戦でもしなければならない。ハル・ノートをのむわけにはいきませんでした。むろん、アジアにおける軍事的な体制は、日本が先行していました。飛行機、戦艦などの分野では他国の勢力を圧倒していました。その意味では、戦争は無謀ではなかったのです。しかし長期戦となると別でした。それでもドイツよりも長く持ちこたえたのです。

 戦争を避けて、その屈辱の中に生きるよりも、矜恃を保つほうを選んだのです。その矜恃は、アメリカにも通じていました。もし天皇を戦犯にすれば、さらに戦争が延び、連合軍の被害が大きいことを知っていたのです。アメリカで、この戦争がはじまってすぐにつくられたOSS(Office of Strategic Services)という戦術局は、最近発見された文書で、すでに最初から天皇を戦争責任者として追及しない方針を固めていたことが判明しています。しかしOSSは、天皇と軍部が対立しているような情報を流し、また国民の中の分裂を助長する戦術を立てていました。

 この新しい資料によると、天皇を象徴として残し、日本を戦後、社会主義の国にするという方針を立てていたのです。このOSSの下では、多くの社会主義者が協力し、彼らが方針を決めていたのです。

(出典/田中英道著『日本の歴史 本当は何がすごいのか』育鵬社)

【田中英道(たなか・ひでみち)】
東北大学名誉教授。日本国史学会代表。
著書に『日本の歴史 本当は何がすごいのか』『[増補]日本の文化 本当は何がすごいのか』『[増補]世界史の中の日本 本当は何がすごいのか』『日本史5つの法則』『日本の戦争 何が真実なのか』(いずれも育鵬社)ほか多数。

日本の歴史 本当は何がすごいのか

知っていますか? 日本の“いいところ" 伝統と文化の魅力がわかる14話




関連記事