朝鮮半島有事、李英和氏の優れた情勢判断(4)――北朝鮮の核問題の解決は、がん治療に似ている

日本のミサイル防衛の取り組みと変遷(『防衛白書』平成28年版より)

がんサバイバーとしての経験から


 朝鮮総連に恐れをなして、日本の多くのジャーナリストや文化人、議員たちがはっきりとものを言わない中で、本稿3回目で紹介したように、李英和氏は現実を直視して、自らの祖国に対して果敢に発言してきた。

 そのストレスが嵩(こう)じたのであろう。彼は、本稿1回目で紹介した4月26日の参議院「国際経済・外交に関する調査会」での参考人意見陳述において、自らが「がんサバイバー(がんと診断され現在、生存している人)」であり、2年間がん治療で入院、昨年、職場に復帰したと打ち明け、北朝鮮に関連して概略、次のように述べた。箇条書きで紹介しよう。

・北朝鮮の核問題の解決は、がん治療に似ている。数十年放置してきたので、がんのステージで見れば、Ⅲ(リンパ節への転移)からⅣ(他の臓器への転移)に入りかけており、もはや漢方薬や民間治療では治らない。

・がんの三大治療は、①抗がん剤治療、②外科手術、③放射線治療である。これを北朝鮮に当てはめると、次のようになる。

 ①抗がん剤治療=経済制裁を行い、がん細胞(脅威)を弱らせる。中国が担当。

 ②外科手術=軍事的手段により、局所的に腫瘍を取り除く。執刀医はアメリカ。補助医として日本と韓国が加わることが求められる。

 ③放射線治療=がんが再発、転移しないようにするための政権交代、あるいは亡命政権作り。日本が積極的にサポート。

なぜ日本に期待するのか


 さらに李英和氏は、朝鮮半島有事後の北朝鮮の統治機構作りに、日本が積極的に関与すべきであると表明した。

 李氏は、北朝鮮の民主化の実現を心から望んでいる。そのため明確には述べていないが、共産主義国家・中国が関与しては実現しないとみているようだ。また、本来ならば同胞である韓国が前面に出るべきところだが、民主国家としての伝統や実績という側面から日本に期待していることが言外にうかがえる。

 だからこそ、北朝鮮が万が一にも核ミサイルを日本に発射し、広島、長崎の再現となったら、いかに人の良い日本人でも、百年間は北朝鮮を許さなくなり、有事後の北朝鮮の統治機構作りは台無しとなる。

 そのことを危惧し李氏は、日本に「敵地攻撃能力」を持つようにとまで提言している。(続く)

(文責=育鵬社編集部M)





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