“大人の引きこもり”からの救済③

引きこもり

大人の引きこもりの現実


 廣岡氏は、もともとは子どもたち(18歳未満)の非行防止、更生を中心に活動をしていた。そんななか、2010年頃、登校拒否の子どもとその親を支援する様子がテレビで取り上げられたのだ。それを見た親から連絡があった。

「うちの子は20歳なんですが、テレビでやっていたのと同じような様子で困っています」「25歳なんですが、18歳未満でないと相談には乗ってもらえないでしょうか?」など、成人した子どもの親からの相談が来るようになったと言う。

 どこに相談していいかわからない親たちが、廣岡氏ならこの状況を救ってくれるのではないか、という思いからだったのだろう。

 “引きこもり”というと、「自分の部屋に引きこもって、人に会おうとしない。家族とも顔を合わせることも、会話することもなく、食事も部屋の中で。トイレと入浴以外出てくることはない」などと想像するかもしれない。しかし、そんなステレオタイプの引きこもりは、全体のわずか4.7%くらいしかいないという(内閣府『若者の生活に関する調査報告書』2016年9月)。

 廣岡氏が相談を受けるケースでは、外に出て自分でコンビニも行くし、たまには友だちに会ったりする、という人も多い。ただ、親は子どもが“社会に所属しない状態”を心配し、引きこもりは深刻な悩みとなるのだ。廣岡氏はその親の悩みに真正面から対応する。

カウンセリング、面談、直接指導


 まず、親のカウンセリングを行い、時にはその家庭を訪問し、本人のカウンセリングも行う。そして、本人の「環境を変えることが必要」と判断した場合は、全寮制のフリースクールに受け入れている。

 電話やメールなどの問い合わせも多い。1日に20~30件ほど。子どもが成人しているということは、相談者の年代は60~70代。親自身が年金生活に入るということで、経済的、体力的に不安を感じて相談してくるのだ。廣岡氏は多いときは1日に4件の家族と面談をし、週に2~3回は訪問して直接の指導を行っている。

 本の取材は、廣岡氏の日々のこういった面談や直接指導の合間を縫って行った。廣岡氏は「面談の時間になりましたので、少し失礼します」といって席を離れ、面談用の会議室に向かう。そして、面談の終了時間はとうに過ぎていたが、まだまだ続く様子だった。

「こんなことしてたら、体がいくつあっても足りないんですけど、ね」と言いながら、「僕が倒れたら、たくさんの人が困るから」と、廣岡氏は私たちに言い残し、また次の仕事に向かった。

(文/、『「大人の引きこもり」を救え!』取材班)

「大人の引きこもり」を救え!

引きこもってしまった人を社会復帰させる支援を行っているワンステップスクール校長による活動記録。

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