異能・異端の元財務官僚が日本を救う(2)――「高橋洋一は、三度殺しても殺し足りない」
天下り先ポストを失った財務省の怒り
米国のプリンストン大学で世界の最先端の経済学を学んだ高橋洋一氏は、2001年(平成13年)に発足した小泉内閣で知己であった竹中平蔵氏が経済財政政策担当大臣となったため、その縁で竹中氏の政策スタッフを兼務することとなり、その後、補佐官となる。 また2006年に発足した第一次安倍内閣では、内閣参事官を任命される。財務省では干されていたが竹中平蔵氏の引き立てがあり、財務省からの出向となり要職を担うことになる。 その間、高橋洋一氏は数多くの重要な仕事に関わったが、とりわけ、①「霞が関埋蔵金」の存在を指摘、②政府系金融機関の改革(統廃合)、③公務員制度改革は注目を浴びた。 ①の霞が関埋蔵金とは、日本政府における特別会計の剰余金や積立金のことであり、その存在が争点になった際に、高橋氏はその存在を明快に指摘した。秘匿しておきたかった財務省の意向に反したのである。 ②の政府系金融機関の改革(統廃合)は、郵政民営化と軌を一にし、各省がもっていた政策金融機関を統合して組織のスリム化を図り、「民間にできることは民間に」委ね経済全体の活性化を図る狙いがあった。 ③の公務員制度改革は、内閣人事局を新設し、各省庁の幹部人事をそれまでの官僚主導ではなく政府主導にすることであり、また公務員の天下りの禁止も盛り込まれた。 とりわけ、②の多くの政府系金融機関の主要ポストは、大蔵(財務)OBの天下り先であったため高橋洋一氏は「怨嗟の的」となる。かくして、髙橋氏は、財務省の高官から「三度殺しても殺し足りない」とまで言われた。 かくして、安倍第一次内閣が2007年9月をもって終了したため、翌2008年(平成20年)3月を以って財務省を退官した。「月とすっぽん」の差がある文部科学省の前事務次官・前川喜平氏
|
『日本を救う最強の経済論』 バブルの対策を誤り、その後の「失われた20年」を系統的に解き明かし、今後のわが国の成長戦略を描いた著者会心の書。 ![]() |
ハッシュタグ
おすすめ記事