“大人の引きこもり”からの救済④
引きこもりは増えている
引きこもりとは、社会参加しないで6か月以上家庭に留まっている状態と国では定義している。今年の6月には、内閣府から「子供・若者白書」の2017年版が公表されたが、引きこもりの数が年々増えていることがデータ上でも明らかになっている。 若者教育支援センター代表理事でワンステップスクール校長である廣岡政幸氏によると、「当事者は、1人ひとり個別の事情を抱えており、簡単には解決しない」という。だから、親を始めとした周囲のサポートが引きこもりを解決するのに非常に大切だというのはその通りだろう。 引きこもりに関しての相談窓口としての公的機関は各自治体に存在している。しかしながら、ネットを見るだけでも、さまざまな民間団体が相談を受けているのも事実だ。このように、民間にも多くの引きこもり支援団体があるということが、逆に引きこもりの数の多さを示している。ある母親からの電話
「不登校の少年の問題」から「大人の引きこもり」まで、様々な相談を受けている廣岡氏の活動が日本テレビの情報番組「スッキリ!!」で詳しく紹介されたが、彼の初の著書『「大人の引きこもり」を救え!』の出版から4か月後、ある読者から本に関する問い合わせの電話が育鵬社にあった。 「廣岡さんのセミナーがあったら、行って話を聞いてみたいので、連絡先を教えてください」。20年ほど引きこもっている息子を案じた母親からの電話だった。比較的明るい声の女性だったが、出版社に電話を入れたことに対してしきりに恐縮されていた。 こちらは、著者とのあいだに入っている編集者で、プライバシーもあるので、先方の話を聞くことに徹して、廣岡氏のサイトにも載っている電話番号を教えただけだった。 実は、『「大人の引きこもり」を救え!』の奥付けには、読者が廣岡氏と連絡を取りやすいように、学校のサイトのアドレスとQRコードを載せていたので、まずはそう伝えたのだが、女性からは「家にはパソコンがないので、本に載っている電話番号に掛けてみました」と言われたのだった。 電話を入れたことにしきりに恐縮するこの女性。20年来、引きこもっている息子。本書を通じて、この女性の「息子さん」の引きこもりの解決の役に立てれば、本を出版した意義がある。大人の引きこもりと老親
先日、読売新聞の「引きこもり」に関するネット記事で「親が死んだあとの生活」について取り上げていた。「大人の引きこもり」であっても、年老いているとはいえ、まだ親が健在。引きこもる子供の面倒を見ているが、親の死亡によって、その先を彼らがどう生きていくか、もっと厳しい将来も予想されるといった記事だった。中には、収入が親の年金だけで暮らしているというケースもあるのだという。 相談の窓口でも40歳以上の高齢化した引きこもりが多くなっていると、別の読売新聞の記事は伝えていた。これは、就労支援に関しては、30歳代までが対象となっており、公的機関が設けている「ひきこもり地域支援センター」が40歳を目安にしていることも関連しているのではないかと記事では指摘していた。 内閣府が15歳から39歳を対象にした調査で、全国に54万人の引きこもりがいると推計しているが、40歳以上の引きこもりの実態はつかめていない。 引きこもりの救済に関しては、個人の意思を尊重すべきで、人権の観点からも本人の納得しない救済を強制してはいけないという意見もある。それは十分に理解できるが、廣岡氏もいうように、個人だけでなく家族にとっての問題でもあるので、双方が納得できるような解決策を見いだしてほしいと思う。 (育鵬社編集部A)
『「大人の引きこもり」を救え!』 引きこもってしまった人を社会復帰させる支援を行っているワンステップスクール校長による活動記録。 |
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