愛国のエコノミスト(3)――財政政策に傾き、金融政策を軽んじてきた日本

日経平均株価2万円の回復を示すモニター(9月19日午前)

金融緩和なしの財政政策は意味がない


 以上見てきたように高橋洋一氏の二つの考え方、つまり①デフレ不況下での「財政再建のための消費増税不要」は20年来の主張でありあり、また、②金融緩和とインフレターゲット2%の実施は15年間温めていたリフレの政策である。

 この二つは、高橋氏の国益と政策的合理性の追求から導き出された政策であり、実際の成果についても後述するが、十分な結果を出している。

 では、従来行われてきた経済政策がなぜだめだったのか? 答えは簡単である。高橋氏は次のように言う。

「マクロ経済政策には財政政策と金融政策があるが、金融政策は形ばかりのもので、実際には金融緩和をせずに財政政策だけが繰り返し行われていた。だが、いくら(公共投資に代表される)総合経済対策を行っても景気は良くならないから、さらに財政政策が繰り返されることになる。その結果、(景気が上向かないので)税収が下がる一方、(高齢化の進行で)社会保障費などの義務的経費が増える。理論的には金融緩和なしで財政政策をしても効果がないのである」(前掲書113ページ、抜粋)

 簡単に言えば、地元に利益誘導する政治家の要請に基づいて行われる、舗装されている道路を掘っては埋め直しまた舗装するという類の公共投資は、もはや意味がないのである。

 そこで、高橋氏のリフレ政策の提言を踏まえた、金融政策と財政政策がミックスされた「アベノミクス」が、第二次安倍内閣で発動したのである。

製造業を中心に過去最高の業績となる企業が相次ぐ


 その評価については、時事通信社が9月25日6時59分に配信した記事が簡潔に良くまとまっているので以下、紹介したい。

 アベノミクスは、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、成長戦略の「3本の矢」で構成。最も注目を集めたのが金融緩和だった。
 安倍政権が発足直後の2013年1月、政府・日銀はデフレ脱却を狙って共同声明を発表。2%の物価目標導入に加え、成長力強化と財政健全化の両方に取り組むことを盛り込んだ。
 その後、「第1の矢」として放たれたのが、黒田東彦日銀総裁による同年4月の「異次元」緩和だ。大量の国債を買い入れて、巨額のマネーを世の中に供給。政権発足時に1万円そこそこだった日経平均株価は現在2万円を回復し、1ドル=85円前後だった為替相場は3割以上円安が進んだ。
 製造業を中心に過去最高の業績となる企業が相次ぎ、7月の有効求人倍率は43年ぶりの高水準となった。景気拡大は8月で戦後2番目に長かった高度成長期の「いざなぎ景気」(57カ月)に並んだとみられる。

 記事ではその後段で、企業が賃上げに慎重で消費に勢いがなく2%の物価目標がまだ達成されていないこと、また、安倍首相が衆院解散に合わせ財政健全化よりもアベノミクスの再加速を優先し、2019年10月の消費税率10%引き上げによる税収増のうち、借金返済に充てる分を減らし、子育て支援や教育無償化などの財源に回せば「財政規律」が緩みかねないなどの点を指摘している。

 この、財政規律が緩みかねない――との指摘について、次項で分析したい。(続く)

(文責=育鵬社編集部M)

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