高橋洋一氏は現代日本の救世主か②――近刊『愛国のリアリズムが日本を救う』の凄い中身

近刊『愛国のリアリズムが日本を救う』のカバーを広げたところ(赤線は引用者による)

「経済成長否定論」を垂れ流す朝日新聞の愚かさ


 高橋洋一氏の近刊(9月5日発売)『愛国のリアリズムが日本を救う』(発行=育鵬社、発売=扶桑社)の中身を見てみよう。

「国という共同体において、そこに生きる人々の雇用が確保され、生きがいを持って仕事に打ち込み、相応の賃金が確保されることは、経済政策の根本だ。相応の賃金の総和が国の豊かさであり、それを実現することが国益の追求となる」(本書「まえがき」より)

 何気ないこの一文に、高橋洋一氏の同胞愛、もっとはっきり言えば「愛国」の視点を見ることができる。

 新聞・テレビなどのマスコミに登場する「識者」と呼ばれる学者、エコノミスト、編集委員などに、これだけ明快に「失業率を減らし雇用を増やす」ことが最重要だと述べる人は少ない。

 なぜならその識者たちは、すでに安定した雇用先を確保し相応の賃金を得ているため御身安泰であり、他人の就職事情などは基本的には「他人事(ひとごと)」であるからだ。

 もっと悪質なのは朝日新聞などのメディアであり、平気で「経済成長否定論」を展開するが、経済成長をしなければ失業率が増えるのは自明の理であるにもかかわらずだ(本書、160ページ~166で詳説)。現実を直視せずに、己の身だけは安全な場所に置き、世を惑わす風説を流布することに心の痛みを感じないのだろうか。

人生経験が生み出す同胞愛、愛国の視点


 一方、著者の高橋洋一氏(1955[昭和30]年生まれ)の人生は波乱万丈だ。東京大学理学部数学科を卒業し、学士入学で同大経済学部に籍を置きつつ統計数理研究所(旧文部科学省統計数理研究所)で非常勤研究員となる。その後、正式採用を経て数学の学者の道を歩むはずが採用の約束を反故(ほご)にされ、経済学部を卒業し1980(昭和55)年に大蔵省(現、財務省)に「変人枠」(本人談)で入省した変わり種だ。

 財務省では実績を積み重ね、1998(平成10)年から当初は2年間の予定で米国のプリンストン大学に客員研究員として派遣された。そこでベン・バーナンキ教授(後の米連邦準備制度理事会[FRB]議長)やポール・クルーグマン教授(後にノーベル経済学賞受賞)といった「リフレ派」の巨頭、さらに安全保障分野ではマイケル・ドイル教授(現、米国のコロンビア大学)から最先端の学問を学ぶ。プリンストン大学での勉強が面白すぎて、そのまま研究した方が「お国の役に立てる」と思い、帰国の予定を蹴って1年延長したため、「組織の掟を乱す者」として帰国後の財務省が用意したポストは他省庁への出向という閑職であった。組織(ムラ)の掟に従わない異端者として干されたのである。

 しかし、知己であった竹中平蔵氏の引き立てがあり、2001年(平成13年)に発足した小泉内閣や2006年に発足した第一次安倍内閣では、大臣補佐官や内閣参事官(財務省からの出向)という要職をつとめ、さまざまな改革を行った。例えば、政府系金融機関の改革(統廃合)では、各省がもっていた政策金融機関を統合して組織のスリム化を行い、「民間にできることは民間に」委ね経済全体の活性化を図り、他方、公務員制度改革では内閣人事局を新設し、各省庁の幹部人事をそれまでの官僚主導ではなく政府主導にし、また公務員の天下りの禁止も盛り込んだ。

 前者の政府系金融機関の主要ポストは、大蔵(財務)OBの天下り先であったため、高橋氏の統廃合改革により天下りポストが大幅に削減され「怨嗟の的」となる。かくして髙橋氏は、財務省の高官から「三度殺しても殺し足りない」とまで言われた。同じように公務員制度改革により官僚全般の天下り先が制限されたことにより、高橋氏は「霞ヶ関を敵に回した男」となった。高橋氏の活躍の舞台であった第一次安倍内閣が2007(平成19)年9月に終了したため、翌年3月を以って財務省を退官した。この間、千葉商科大学大学院で博士号(政策研究)を取得したので、その後、大学に転身し、現在は嘉悦大学の教授となっている。

 この間、さまざまな嫌がらせがあったのは想像に難くない。しかし、自分で道を切り開き、旺盛な筆力をもってあるべき日本の姿を提言し続けている。

 御身安泰とは裏腹の、こうした波乱万丈な経歴を持つ高橋氏だからこそ、冒頭に記した「人々の雇用が確保され、生きがいを持って仕事に打ち込み、相応の賃金が確保されることは、経済政策の根本だ」という同胞愛、つまり愛国の言葉が生まれてくるのではないか。(【3】に続く)

文責=育鵬社編集部M

愛国のリアリズムが日本を救う

愛国に右も左もない。あるのは、日本に対する責任感だ! 左派リベラルの観念論を論破し、国益と政策的合理性の追求を解き明かした渾身の書




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