更新日:2022年06月22日 00:39
スポーツ

立ち技の女王・RENAが総合デビュー「オープンフィンガーグローブは“効く”ってよりも“痛い”って感じ」

 シュートボクシング「Girls S-cup 」2連覇。初代SB世界女子フライ級チャンプで現在15連勝中のシュートボクシング界の女王がついに総合格闘技へ――。端正な顔立ちと圧倒的な強さで女子立ち技格闘技界の頂点に立つRENA(レーナ)。12月31日に開催される『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015』(以下RIZIN)で総合格闘技に初挑戦する彼女に気になるあれこれを聞いてみた。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1007232 ――そもそも格闘技を始めたきっかけはなんだったんですか? RENARENA:私、4人姉妹の末っ子なんですよ。しかもお姉ちゃんたちがわりと不良系でパシリにされたりイジメられてたんです(笑)。口も負けるわ、つかみあいのけんかも年齢が違うから負けちゃうし、そもそもなんかやけに強いし。それで、お姉ちゃんたちに仕返ししてやろうって思って格闘技を始めたんです。だから動機はお姉ちゃんたちをしばきたかったからなんです(笑)。 ――姉妹げんかの原因はなんなんですか? RENA:「私の服、勝手に着たやろ!」とかしょーもないことですね(笑)。いつも階段から落とされそうになったり、馬乗りになって顔面どつかれたりしてましたよ(笑) ――お姉さんたちは格闘技はやってないんですか? RENA:お姉ちゃんたちはそれこそストリートファイトばっかりですね。だから私が格闘技を習いはじめても無関心で。「なにあいつ、格闘技なんか始めてんの? あほちゃう」ぐらいの感じでしたね。まさか向こうも私が仕返しするために習いはじめたとは思ってないので(笑)。 ――その目的は達成したんですか? RENA:それが、やっぱり格闘技を始めちゃうと、やってない人に手を出せなくなって。つかみ合いとかはありましたけど殴ったことはないですね。髪の毛ひっぱるぐらいです(笑)。 RENA――RENAさんといえば、世間的には『炎の体育会TV』(TBS)で、アンタッチャブル・柴田英嗣さん、品川庄司の品川祐さん、今田耕司さんというお笑い芸人との対戦を記憶している人も多いと思います。 RENA:2011年だからもう結構前なんですけど、今でも、あっ、芸人と戦ってたコやろ? 見た見た!って言われることが多いですね。 ――あの番組も結構な体重差の男性芸人3人と立て続けに試合をするというかなりむちゃな企画でしたよね。結果は全員に勝利しましたけど。 RENA:じつはあれ、最初はそこそこの感じでやればいいエキシビション的なものだと思ってたんですけど、1試合目の柴田さんの試合が始まってみたら1発目からまあまあ強いのをもらって。その瞬間、これはガチや!って気づいたんです(笑)。 ――品川さんからダウンを奪ったシーンは特に話題になりましたよね。 RENA:普段、ジム内のスパーリングでもあそこまで大きい人とやらないので。体格的にすごくやりづらい。だから「体重考えてよ!」って思いながら戦いました。品川さんはキレキャラなので、「マジか!」ってぐらい強烈なのを何発かもらったのでやり返したら、カウンター気味にいいのが顎に入ってダウンしちゃったので、「テレビの仕事がこれで終わってしまう~」って焦りましたね。 ――蹴ったRENAさんも焦っちゃうぐらい強烈な当たりだったと。でもそんな蹴りを受けて立ち上がった品川さんもすごいですね。 RENA:ほんとですよ(笑)。でもあのシーンが結構話題になったし、品川さんも無事だったし、結果よかったのかなって。 ――今回、総合格闘技へ初挑戦することが決定しましたが、00年代前半のまさに総合格闘技ブームの頃は『PRIDE』、『DREAM』など民放で放送されていた総合格闘技はよく観られてたんですか? RENARENA:いや、それが、ほとんど観てないんですよ。総合格闘技の関節技って、伸びたり骨が折れた瞬間がわかったりするじゃないですか。そういうのがもう本当に苦手で。怖くて観られないんですよね。 ――シュートボクシングでも立った状態の関節技はありますよね。 RENA:でもシュートボクシングは基本打撃がメインなんで。倒せばすぐに終わるから怖くないんです。なので当時からは総合は私のなかで怖いものっていうか、シュートボクシングとはまったく別ものと思ってましたね。 ――そんなRENAさんが、なぜ今回、『RIZIN』への出場を決意したんですか? RENA:私も最初は絶対ない!って思ってました(笑)。今までも何度かお話をいただいて、そのたびに絶対無理!って断ってたので。まさかまさか出ることになるとはって自分でも驚いてますね。 ――どういった心境の変化があったんですか? RENARENA:いちばんは新鮮味ですかね。何か新しいことに挑戦するっていうのがここ数年あまりなかったので。そういう意味ではやりたい気持ちが少し出てきたちょうどいいタイミングだったかなって。でも結構悩んだんですよ。一度無理ですって断って、その後も話を続けていくうちに「もう記者会見だから!」って言われて、「もうここはやるしかないな~」って。だから『RIZIN』開催発表記者会見の直前までやるって決めきれてなかったんです。だから会見が終わってすぐの10月の頭から総合の練習をやり始めたんです。 ――ちなみにオープンフィンガーグローブに変わったことで、打撃の威力は上がるんですか? 素人から見ると小さいグローブのほうが威力も高いってイメージがあるんですが。 RENA:私もそれはずっと気になってたんですよね。ちょうど『RIZIN』の記者会見で髙谷裕之選手と同じテーブルだったんですね。だからちょっと聞いてみようと思って、オープンフィンガーってどんな感じですか? ダメージ強いですか?って聞いたら「街中でさ~、ケンカしたことある?」って普通に聞かれて、えっ、いや、ないです!って(笑)。「まあ、あれに、アンコ付いてるようなもんだ」って当たり前な感じに言われて、やっぱ、総合でやられてる選手はすごいなーって(笑)。 ――わはは、それは聞く人を間違ってますよ! 高谷選手は“けんか番長”ですからね。実際に使ってみるとどうですか? RENA:小さいからスピードは早くなりますよね。スッと来る感じ。グローブに厚さがない分、ガードしててもすり抜けて入ってくる。だからブロッキングはしないで顔でよけるようにしたりと工夫はしてますね。でもダメージでいうと断然いつものグローブのほうがあるんです。面積が大きい分、振動も大きいから倒れちゃうんですね。試合中にダメージも残る。オープンフィンガーは痛いし、当たると腫れるんですけど、パンチとして効くのはいつものグローブって感じですね。 ――総合の練習は順調ですか? RENARENA:なれてないぶんキツイですね。使う筋肉がぜんぜん違うんですよね。たとえば寝転んだ状態でも常にずっと顔を上げておかないといけなかったりして。だから首と腹筋は今もずっと筋肉痛で痛いですね。でもまったく新しいことを学んでいるので毎日楽しいです。 ――たとえばどんなことですか? RENA:本当に細かいことなんですけど、押さえるポイントが少し違うだけで人間ってこんなに動けなくなるんだ!ってことに驚いたりとか。ここを押さえると手があがるけど、こっちを押さえると挙がらなくなるとか、そういう知らなかったことを知れるのが本当に楽しい。だけど実際にやるのはすごく難しいですね。足がちょっとゆるんでたり、ポイントがずれてたりしたらぜんぜん極まらないし、ガートするにしても体のいろんな部分を同時に動かさないといけない。私は、1つの動きに集中しちゃうと別の箇所を忘れちゃうんですよね。だから今はまだ、足閉じながら、手の向きはこうで! とか1つずつ考えながら動いてますね。馬乗りは昔、お姉ちゃんによくやられてたことはあるけど自分がやったことはなかったので(笑)。 ――対戦相手のイリアーナ・ヴァレンティーノ選手はイタリアでモデルとしても活躍する金髪坊主の美女ということで“日伊美女ファイター対決”として注目されています。RENAさんにとって相手の印象は? RENA:おしゃれ坊主の人(笑)。むこうも総合は初めてって聞いてるんで、どこまでできるのかわからないし、どんな試合になるんだろうって。 ――試合で出してみたい技はありますか? RENARENA:やっぱり飛びつき腕十字とか派手な技で勝ちたいですね。それから、うちのお姉ちゃんがミルコ(・クロコップ)選手のファンだったんですよ。だからミルコ選手のような劇的なKOもやってみたいなって。見てる人が驚くような“まさかの展開”を作りたいですね。 ――普段のシュートボクシングの試合とは違った戦い方になりそうですか? RENA:まず相手との距離感が違いますからね。シュートボクシングには寝技がないのでそういう面ではぜんぜん違う。普段、シュートボクシングの試合ではいろいろなパンチをちらしながら当てていくんですけど、総合の試合でそれをやっちゃうとタックルですくわれちゃう。だから打撃の距離や打ち方、タイミングもまったく別ものです。 ――では最後に年末に向けての意気込みをお願いします! RENA:今までのシュートボクシングの経験を活かしつつ、これでいくか!って、観ている人たちを驚かせられる試合をしたいと思ってます。私の試合が、シュートボクシングや総合格闘技の女子選手たちが注目されるきっかけになれればいいなって。総合はまだド素人ですけど精いっぱい頑張ります! ●RENA(レーナ) RENA1991年6月29日生まれ。大阪府出身小学6年生で格闘技を習いはじめ、16歳でプロ選手に。端正な顔立ちと圧倒的な強さで名実ともに頂点に立つシュートボクシングの女王。Girls S-cup2009・2010を連覇。今年8月には初代SB世界女子フライ級王座にも輝いた。 RENAオフィシャルブログ: http://ameblo.jp/rena-official/ SB公式サイト: http://www.shootboxing.org/ RIZIN公式HP:http://www.rizinff.com/ 取材・文/河上 拓 撮影/丸山剛史
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