電気グルーヴ・石野卓球とピエール瀧の異常なまでの仲のよさ「陰口は言わない。直接言ったほうが面白いし」
電気グルーヴの26年の活動をまとめあげたドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE?~石野卓球とピエール瀧~』(大根仁監督)が間もなく公開される。今でこそ別々のフィールドでも活躍する2人だが、それぞれの目に“原点”はどう映ったのか? 関係者コメントなども交えながら銀幕の中に登場するのは、貴重な過去のライブシーンや楽屋での2人の素顔、そして異常なまでの「仲のよさ」だ。
――高校生の頃に出会った当初はどんな感じだったんですか?
瀧:僕の中学は素朴な感じで、卓球君のエリアはどっちかというと都会だったんですよ。共通の友達を通して出会ったんですけど、こっちエリアに来たときの研ぎ澄まされている感じとか、なんというか、ニューヨークに来た感じに近かった。
卓球:なぜかコイツ、自分の証明写真を切って持ってきて、俺の中学の卒業アルバムに貼っていましたから。
瀧:「俺、こっちのほうがいい」とか言ってね。
卓球:どういう憧れだよって(笑)。
瀧:けど、毎日会って遊んでる友達なのに、そこで一瞬でも隙を見せたら「お前、今、隙を見せたな」ってドヤされるんです(笑)。
卓球:ははは! 友達としては安心しているんだけどたまにお前がボロを出したときは、友達として「おい、それ!」って注意を促すんですよ。
瀧:でも他の素朴なコって、もっとボロを出し合うと思うんですけど。
――そうですよね。そういうボロも許し合うのが友達、みたいな……。
瀧:俺らにはそれが一切なかった。気を抜くとすぐに足元すくわれる。
卓球:でもお前、部活終わりに毎日俺んちに来てたよな。野球部の朝練をやって授業中に寝て、午後に部活やって。何時に終わるの?
瀧:夜9時ぐらい。
卓球:そこから自転車で40分かけてウチにきて。テープ録ったり、マンガ読んだり。夜1時頃に帰るんだよな。それで寝て、また朝練やって。そりゃ授業中寝るわっていう(笑)。
瀧:授業中しか寝る時間ないからね。まぁそれでも行ったのは、卓球君の家にあるレコードだったりマンガだったりとかの欲求のほうがデカかったんだよね。行ったときの楽しさのほうが上回っていたんで。
――その高校のままの仲のよさが映画からもビンビン伝わりますよね。関係性は変化しないものですか?
卓球:お互いに奪い合うものがないんでしょうね。ぱっくり分かれていて、その真ん中に電気グルーヴがある感じなので。そこだけが共有のものって感じなんですよね。
――でも各々の活動が充実してくると、それまで共有していた価値観も変わっちゃうのが普通かなと思うんですけど、お二人にはないですよね。
瀧:でも、仮に僕が役者面をするじゃないですか。するとさっきのボロじゃないけど、ドヤされるんで(笑)。
卓球:まぁ、「アレ、どういうこと?」っていうのはあるよな。
瀧:でも、もし電気だけをやっていたら、全部電気として答えを出さないといけないじゃないですか。答えによってはどっちかが呑み込んだり、我慢しないといけないときもあって、軋轢が生じることもあるでしょ。けど、僕らはお互い全然違う仕事で、割り切っている。そう言うと愛人みたいだけど(笑)。そこがたぶんやり合わなくて済む要因ですよね。
卓球:仕事の話というか、「今後はこういうのやらない?」みたいな話はするんですけど、それも別に仕事として分けてない。あとは単純に面白いからっていうね。瀧が芸能界に“社会科見学”に行って、帰ってきたときのいろんな土産話が面白い。
瀧:アイツはワキガとか、そういう話でしょ(笑)。
――これだけ長く一緒にいても飽きないものなんですね。
卓球:そうですね。お互いに個人で活動して、そこで体験したこともあるんで。あとは、お互いに物事の物差しみたいなものはそうそう変わるものでもないので。
瀧:「こんなことあったんだけど、どう思う?」ってね。
卓球:ただ、瀧が役者を始めた頃、やっぱりたまに会ってないと、コイツのモードが変わってることがあったんですよ。しょうがないんだけど、明らかに価値観が業界人っぽくなってくるよね。
瀧:そのたとえ古いな、微妙に(笑)。
卓球:俺からしたら「お前そんなヤツじゃなかったよな?」って。でも、それは水を差すようで言えなかった。だから、陰口を言っていた(笑)。
瀧:陰口はずっと言われてるだろうなって思ってたから、大丈夫(笑)。
卓球:でも今はないよ。だって陰口じゃもったいないしさ。直接、瀧に言ったほうが面白いじゃん。
瀧:反応込みで楽しめるからね。
※このインタビューは週刊SPA!12/22号のインタビュー連載「エッジな人々」から一部抜粋したものです
<取材・文/渋谷直角 撮影/齋藤清貴 スタイリスト/上野真紀(Upward) Maki Ueno(Upward) ヘアメイク/SHUTARO(vitamins)>
友達なのに、なぜか足元をすくわれる間柄
陰口は言わない。直接言ったほうが面白いし
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