高年齢フリーター「日給8000円以下、月に15日働ければいいほう」
35~44歳の高年齢フリーターが50万人を突破した。富永大さん(仮名・37歳)もその一人だ。
「朝起きたら20歳の頃にタイムスリップしてないかなあ。最近、そんなことばかり考えちゃうんですよ」
苦笑いしながら、現実逃避発言をするのはフリーター歴13年の富永さん。大学時代にはじめた工事現場やイベント会場などの警備員アルバイトを今も続けている。
「10年前は日給1万円の現場もあったのに今は8000円以下もザラ。半日勤務で3000円なんて場合も珍しくないよ。しかも、バイトの登録者は増える一方で、会社は体力のある若い連中を派遣したがる。おかげで最近は月に15日働ければいいほうです」
収入は約10年前のピーク時に比べて半減。そのため家は築30年のボロアパート住まいで、弁当を買う余裕がないから、バイト現場には自分で握ったおにぎりを持参する。
「20代の頃は飲みにも行ったし、パチスロや風俗で遊ぶこともできた。こんなことになるならパーッと使わずに少しでも貯金しておけばよかった」
ちなみに、フリーターになる前は大学生。学業そっちのけでバイトと遊びに明け暮れ、留年を繰り返した後に中退した。
「当時も就職氷河期。自分は地方のFランク大学だったし、いくら就活に励んでも内定が取れない人も多かった。それで就活するのがバカらしく見えて、バイトでもいいと思って働きはじめたんです」
だが、一度フリーターになってしまうと、そこから就職するのは周りが考えている以上に難しい。
「いつまでもフリーターじゃマズいと思い、20代後半から30代前半にかけて真剣に仕事を探した時期がありました。合わせて100社以上に履歴書を送ったけど全滅でした。バイトを休んでの職探しですから、当然その間の収入は下がります。フリーター期間が原因なのか、ほとんど書類選考で落とされましたね」
一時はバイト先の警備会社の正社員になる話もあったが担当者が異動となり、話自体が立ち消えになってしまった。
「今もわずかな可能性に期待して求人サイトや無料求人誌のチェックはしています。でも、ほとんどの求人は応募資格の年齢上限が30歳や35歳。僕が応募できそうな求人すら残っていないんです」
富永さんに残された選択肢は、警備員のアルバイトのみ。再び正社員の話が来ればいいが、「現状では厳しい」と言われたとか。
「こうなったら両親には悪いけど、遺産に期待するしかない。本当は考えたくないけど、そうでもしないと這い上がれなさそうで……」
警備用の誘導棒を振りすぎて四十肩になったという富永さんの生活は、崖っぷちに立たされている。<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
『週刊SPA!4/10・17合併号(4/3発売)』 表紙の人/中畑清 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
ハッシュタグ