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原発停止の意外な余波!? エチゼンクラゲが激減している

エチゼンクラゲ

放射能との関連性はあるのか?

 直径2m、体重200kgの巨大クラゲ「エチゼンクラゲ」。  日本海沿岸を中心に大量発生し、巨体で漁網を突き破る、発電所の取水口に押し寄せて出力を低下させる、漁船を転覆させる……などのパワフルかつアグレッシブな生態で関係者の頭を悩ませていたが、その目撃情報が近年、減っている。  詳しい原因は未だ明らかになっていないが、一部では原発の停止とエチゼンクラゲが激減した時期が重なっているのではないかと囁かれている。  石川県在住の飯田優子さん(仮名・38歳)は話す。 「昔から大量発生してたクラゲが、ここ2年ぐらいから激減し始めていて、今年になってからはまったくニュースを聞かなくなった。考えてみれば、震災以降、志賀原発が稼動しなくなった時期と、なんとなく重なるなぁ、と。以前、漁師さんから『原発の近くは水温が高いから、魚の発育がよくてデカいのが取れる』と聞いていたので、まさかクラゲも?と思ったんです」  石川県の志賀原発は、11年2月28日にポンプ部品の不具合で運転を停止中。2号機は震災当日から定期検査で運転を中止しており、両機とも運転再開の目途が立っていない。  一方、エチゼンクラゲの発生情報も、11年11月30日、金沢沖を始めとする数か所でそれぞれ1~2個体が確認されたのを最後に発信されていない。(石川県水産総合センターより) 「ちょうど去年の冬頃から急に話を聞かなくなったんですよね」(飯田さん)  とはいえ、もともと厄介者だったエチゼンクラゲ、激減したからといって地元の漁業や食品産業には特に影響を及ぼしてはいないようだ。  エチゼンクラゲの商品化を検討していた地元の中華料理店も、「特に打撃はない。再発生すれば、現在の中国産クラゲと差し替えるという程度」(関係者)と話す。  「放射能がクラゲとやってくる」(東京海洋大学助教授・水口憲哉氏著)では、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で流された廃液の経路を調査した結果、岩手県の三陸海岸、宮城県、福島県の沿岸をとおって千葉県にまで及ぶ廃液の流れが、エチゼンクラゲの漂流経路と同じであるとしている。  ’06年に再処理工場がアクティブ稼働した翌年の07年、太平洋側でもエチゼンクラゲが大量発生したが、この説に沿えば、原発の停止とクラゲの激減に何らかの関係があると考えられなくもない。  一方、独立行政法人水産総合研究所・日本海区水産研究所によると「因果関係はない」とのこと。  「エチゼンクラゲは東シナ海で発生し、そのうち大きくなった個体が対馬暖流に乗ってやってくる。激減している原因ははっきりしていませんが、あるとすれば発生地の東シナ海にあるという見方が正しい」  発生時のインパクトが強いだけに、いなくなっても様々な説を呼び起こしているようだ。  次にエチゼンクラゲが襲来する日はいつになるか。 <取材・文/エイブリー・ヤス>
放射能がクラゲとやってくる

放射能廃液による海洋汚染の実態

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