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「彼女の全裸画像がネットに流出」損害賠償責任は発生する?

 インターネット上のどこかでは毎日と言って良いほど、頻繁に「炎上」事件が起きている。

 不用意な発言がネットユーザーの逆鱗に触れてブログが炎上、個人情報を特定されたり、学校や職場など所属機関に電話やメールで「抗議」をされたり……ただ、こうした事件の当事者が具体的な法的手段を取ることは非常に稀で、じっと沈黙を貫くうちに別の事件が起き、ほとぼりが冷めるというケースが一般的だ。だがこれらのネット事件を法的に解釈すると、どのようになるのか?

 ネット事件の訴訟問題に詳しい、フォーサイト弁護士事務所の春山修平弁護士に、よくある事例や代表的な事件を例に回答してもらった。

【CASE2】ツイッターでの犯罪行為告白は罪になるのか?はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/309534

【CASE3】
ファイル共有ソフト 某電機メーカー社員男性のPCがファイル共有ソフト「Share」の暴露ウィルスに感染、PCに保存していた交際女性の全裸開脚写真がネット中に出回ったうえに個人情報までも特定されてしまった事件。事件は本人はもちろん多くのネットユーザーに衝撃を与え、ネット史に残る大騒動となった。ここにおいては誰に法的責任が生じるのか、事件の被害者が訴えた場合、どの程度の賠償を請求できるのか?

「この事件については正確な事実が何なのか、ちょっと良く分からないところがありますので、不用意に言及できません。そのため事件と離れて一般的なところで回答します。まず他人の裸の画像を共有ファイル上に流出させた人は、わざとならもちろんですが、うっかり(過失)であっても不法行為(名誉毀損やプライバシー侵害)に基づく損害賠償責任を負うことがあり得ます。ファイル共有ソフトを利用しており、それが暴露ウイルスに感染していたために流出してしまったという過失のケースでは、その当時、ファイル共有ソフトには暴露ウイルスの感染によりこうした事態が起きうるということが予見できたというような場合には過失が肯定されやすいと思います」

 また、一度共有ファイル上にアップされた当該画像をインターネット上のサイトやブログに転載した人間も、不法行為(名誉毀損やプライバシー侵害)に基づく損害賠償責任を負うことがあり得るという。

 つまりアクセスして流出させた張本人は、罰則を受ける可能性が高い。あくまで、特定されればの話であるが……そして何よりも、流出されてしまった被害者に対する損害賠償はどのぐらいになるのか?

「名誉毀損やプライバシー侵害による損害賠償額については、このために支出を余儀なくされた費用(画像の削除交渉等に要した費用など)や、失った利益(画像が流出したために就職ができなくなったといえるなら逸失利益等)、そして精神的損害(慰謝料)が考えられ、前二者はケースごとに金額は様々です。慰謝料については、芸能人やスポーツ選手等の有名人が被害者である場合は別として、一般的にはそれほど高額にはならず、100万円に届かないケースが多いと思いますが、これも被害の程度や内容次第で増減しますので一概には言えません」

 つまり一般人の場合は被害やダメージの規模に関わらず、高額な損害賠償額は期待できないということ。

 その後の人生に響くことを考えても、軽はずみなアップロードは百害あって一利なしだ。

【結論】
ウィルスに感染してしまった本人、及び写真の流出、転載などにかかわった人物は故意でなくても損害賠償責任を負う。賠償額は著名人でない場合はそれほど期待できない

 現在の日本においては、韓国などのようにネット利用が実名制ではない限り、自らオープンにしなければ事件に発展することは少ないと言えるが、春山弁護士によると今後ネット関連の訴訟はより細分化し、増加していく見込みだという。

「書き込みを行った本人のみならず、書き込みの『場』となったシステム管理者に訴訟が及ぶリスクも十分にあり、ネットの専門知識を持って対応できる弁護士は現在非常に限られているため、訴訟になったら勝てる可能性は高いとは言えない状況です」

 呑気に炎上していられるうちが華、なのかもしれない。今後も、さらに細かい事例から訴訟リスクについて追っていきたい。 <取材・文/エイブリー・ヤス>

― ネット炎上事件の法的解釈は可能か?【3】 ―




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