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武井咲の名前、実は2人に1人が読めてない【ウロ覚え漢字】

 今年6月6日に亡くなった”ヒゲの殿下”こと寛仁親王殿下は、周知のとおりアルコール依存症で苦しんでおられた。テレビで訃報を聞いていて、ふと気づいたのだが、アナウンサーが「アルコールいそんしょう」と発音しているのだ。えっ、「いぞん」でなく「いそん」?  どちらの読みが正しいか調べてみたところ、辞書などでは「いそん【依存】(イゾンとも)」と書かれているものが多い。つまり、どちらの読みも正解なのだ。一般的にはどうかというと、男女120人(18~45歳)にインターネットと街頭でアンケートを取ったところ、「いぞん」と読む人が89.8%と圧倒的多数だった。もとは「いそん」が正しかったのが、「いぞん」派が増えたために、後者も認められたという。  なんとアバウトな言語なんだ、と思うが、「誤用とされていた読みが、使う人が増えたことで容認される…という例は多い。『絶対的に正しい読み方』というのは、実は存在しないのです」(社会言語学の篠崎晃一・東京女子大教授)。  では、「世論」の読みは、「せろん」か「よろん」か?  アンケートによると、「よろん」派が75.4%と多数だった。ところが、もとは「せいろん」「せろん」が正しい読みで、「よろん」は「輿論」だったという。当用漢字表の公布後、「輿」の漢字がなかったことから、「輿論」が「世論」に書き換えられ、「世論」が「よろん」と誤読され、一般化したそうだ。そして現在は、どちらの読みも正解。

『大辞林』(三省堂)

 ことほど左様に、難しい漢字ではないのに、「あれっ正しい読みはなんだっけ?」というものは少なくない。例えば…「山手線」は「やまてせん」か「やまのてせん」か? 「斜にかまえる」は「しゃにかまえる」か「はすにかまえる」か? 「他人事」は「たにんごと」か「ひとごと」か? 自信を持って読めますか?  また固有名詞でも、実はウロ覚えなことが少なくない。たとえばCM女王「武井咲」のファーストネームは「えみ」だが、アンケートによると正答率は54.2%という低さ。実に40.6%もの人が「さき」と誤読していた。辞書を引くと「咲」の音読みは「しょう」なのだが、訓読みで「えむ【笑む・咲む】」とあり、そうかあれは訓読みだったのかというどうでもいい知識がついた。 かと思えば、歌手「米良美一」の正答率は79.6%。現在は武井咲のほうがよっぽど露出が多いのに、それと正答率とは別問題のようである。  週刊SPA!7/10発売号「実は読めてない![ウロ覚え漢字100]」では、このように、読みが不安な漢字を総ざらえしてみた。そういえば、筆者の母親は還暦を過ぎるまで、「団塊の世代」の読みを「だんこんのせだい」だと信じていた。 <文/週刊SPA!編集部>
週刊SPA!7/17号(7/10発売)

表紙の人/フューチャーガールズ

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