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事件報道の「わいせつな行為」と「みだらな行為」はどう違う?

事件報道むしゃくしゃしてやった」「バールのようなもので殴った」――事件報道でよく耳にする言葉だ。でも、「むしゃくしゃ」なんて言葉は普段ほとんど使わないし、実際にそう供述したとは思えない。このような一種の様式美が存在する報道ワードだが、使い分けの基準がわからないものもある。  その最たる例が「わいせつな行為」と「みだらな行為」。どう違うのだろうか? 朝日新聞(2012年1年間)を調べたところ、「わいせつな行為」が登場するのはのべ346件、一方「みだらな行為」は126件。どうやら人は「わいせつな行為」のほうが、やらかす頻度が高いようだ。 ▼「わいせつ」と報じられたもの ・小学校教諭が「路上で自転車に乗っていた中学生の女子生徒に後ろから抱きつき、路地に連れ込んでわいせつな行為をした疑いがある」(2012.12.23付) ・市職員が「大型商業施設で、20代の女性に「1万円を払うから」と声をかけてわいせつな行為をするよう持ちかけたとして9月に書類送検された」(2012.12.27付) など。 ▼「みだら」と報じられたもの ・地方局ディレクターが「ホテルで、当時16歳の少女に7千円を払い、みだらな行為をし、その様子を動画で撮影したとされる」(12.11.17付) ・高校の男性教諭が「校長の許可なく女子生徒から携帯メールアドレスを聞き出し、メール交換で食事を約束。飲食店で食事後に自宅に招き、みだらな行為をした。」(12.12.14付)  どうだろう? 違いがあるようなないような……。「わいせつ」のほうが“無理やり”度が高いような気もする。そこで新聞記者に聞いてみると、「明確な線引きはないんですが、『わいせつな行為』は刑法176条の強制わいせつに当たる場合、『みだらな行為』は条例違反、たとえば合意ではあったんだけど、相手が18歳未満で淫行条例に触れる場合とか、そういう使い分けが多いですね」。  また、記事をチェックしていると、「ひわいな行為」という言葉もたびたび発見。一番多いのは盗撮・痴漢だ。あとは「女子高生の制服にマヨネーズをかけた」「男がプラジャーとパンツを着用して路上で見せつけた」などマニア度の高い事件にも使われている。各都道府県の迷惑防止条例を見ると、「卑猥な行為の禁止」として、盗撮・痴漢・公共の場所で人を羞恥させる行為、などを挙げているところが多かった。  このように、事件報道ワードは意外と奥が深いのであった。そこで1/29発売の週刊SPA!「事件報道の[ありがち用語]ウラ読み辞典」では、記者や元刑事に取材。「住所不定・無職」とはホームレスやネカフェ難民のこと? 「同署は逃げた男の行方を追っている」って当たり前すぎない? など、ニュースの謎に迫った。 <文/週刊SPA!編集部>
週刊SPA!2/5・12合併号(1/29発売)

表紙の人/SKE48

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