「怯えたフリした方がいいっすか?」ブラック上司に部下が反撃。「俺もう辞めるから」開き直りで退職者が続出
ひと昔前に比べると、明らかに減ってきたブラック企業。労働者には喜ばしいことだが、会社の体質ではなく上司がブラックだった、という話は今でもよく耳にする。
会社の体質については口コミサイトなどで確認でき、就職や転職の際、参考にする人もいるだろう。だが、“上司ガチャ”という言葉があるように、ブラック上司の部下になるリスクは、どの企業であれ完全に払拭するのは難しい。
「私が新卒で入った会社も口コミサイトにハラスメントに関する投稿はありませんでした。もともと興味のある分野だったことも大きいですが、それで惹かれた部分も少なからずあります」
最初に勤めたITベンチャー企業にエントリーした動機をそう話すのは元木拓実さん(仮名・36歳)。実際、就職してからも職場の雰囲気は良く、上司は気さくだが馴れ馴れしく接してくることもなく、仕事の押し付けも一切なかった。
ところが、会社は右肩上がりで成長を続け、中途でも積極的に人材を採っており、これが転機となる。管理職採用された者の中にはパワハラ気質の人間がいたからだ。
「私が在籍していたマーケティング室のマネージャーのN田さんのことです。最初の挨拶で『厳しくいかせてもらうから』と宣言し、不穏な空気を感じ取りました。それでもよりよい結果を出すためであり、理に適っていればまだよかったのですが……」
元木さん以下、部署の人間が提出する企画案には基本的にダメ出し。これ自体はまだいいとして問題は修正指示が曖昧で、なんとか理解したうえで再度提出したが、前回と真逆のことを言ってくるなど上司としての能力そのものに疑問を抱く。
決定的だったのが採用された部下の企画案をさも自分のプランであるかのように上層部に話し、手柄を横取りしたことだ。
「ただ、N田さんは上に取り入るのが上手く、転職してきたばかりなのにCMO(最高マーケティング責任者)とは、地元の先輩後輩の間柄。誘われる形でウチの会社に入ったらしいんです。CMO自体はいい人だと思っていたので、同僚たちとよく『見る目がないよな』と愚痴っていました(苦笑)」
多かれ少なかれどの企業にもありそうな話だが、自分の立場が安泰だと感じたN田さんは傍若無人さが増していく。指示も命令口調になり、仕事も部下に振り分けるだけ。自身は最低限の業務だけであまり働いていなかった。
「だから、私たちが影で呼んでいたあだ名はブローカー。連日の深夜残業とかはなかったですが我々が月20時間前後残業する中、N田さんはほぼ毎日定時に帰っていました。
そんな状況に嫌気が差して、1年の間に部署の仲間2人が転職。けど、3人目に辞表を提出したS藤は、それから公然とN田さんに反旗を翻したんです」
辞表を出してから最後に溜まった有休休暇を一気に消化するまでの1か月半という短い期間だったが、上司の無茶振りにも「できません」と拒否。それどころか「たまにはご自身でやってくださいよ。マネージャーと違って忙しいんですから」と言ってのけたのだ。
「S藤の退職の理由は、田舎に戻って親父さんの経営する会社を継ぐため。ただの転職ならこんな態度を取ったことを新しい職場に知られたら問題になりかねませんが、そこの心配が一切なかった。本人曰く、『もう最後だし、我慢はやめようと思って』と話していましたから(笑)」
N田さんは恫喝じみた口調で脅すが、淡々した口調で「怯えたフリとかしたほうがいいですか?」と返されてしまう。

※画像はイメージです。以下同
管理職採用された部署のマネージャーがブラック上司だった
親の会社を継ぐために辞表を提出した同僚が上司に反旗を翻す
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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