「尖閣諸島は日本のもの」と毛沢東、人民日報も言っていた

 日中間で尖閣諸島をめぐって緊張が高まっている。東洋の火薬庫になってしまうのではないかと世界中の注目が集まる中、今月23日、中国国防省は沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海に防空識別圏を設定したと発表した。防空識別圏とは、領空とは別に各国が不審機の接近時に緊急発進(スクランブル)を実施する基準として設定する空域のことだ。さらには中国軍機が尖閣諸島付近の領空から数十キロ以内の空域に入り、自衛隊機がスクランブル発進するなど、状況はエスカレート。米国のケリー国務長官が異例のコメントを出すなど、日米両政府の反発も強まっている。

陳破空氏

陳破空氏

 いつ大規模な衝突が起きてもおかしくない尖閣諸島だが、その背景にある中国共産党の思惑、そして現在の主張とは矛盾した歴史を知り尽くす男がいる。天安門事件の中心的人物として二度投獄され、アメリカに亡命をはたした中国民主化運動家の陳破空氏だ。現在ニューヨーク在住の陳氏は中国民主化に関する論客として台湾や香港で絶大な注目を集める人物だ。そんな陳氏の日本初となる著書「赤い中国消滅 張り子の虎の内幕」が扶桑社より発売される。今回はその驚くべき内容の一部を紹介しながら、尖閣諸島を巡る中国の矛盾と本音に迫ってみたい。

◆毛沢東は媚日だった!?

 現在の国家主席である習近平が自らの体制を堅固なものとするため、中国国内の毛沢東左派を取り入れようとしていることはよく知られている。ところが陳氏によると毛沢東は反日でもなければ、尖閣諸島にまるで興味がなかったというのだ。

「歴史について多少の知識があれば、本物の毛沢東は反日でも抗日でもなく、むしろ媚日であったことはすぐにわかる。日中戦争の際、毛沢東は抗日を装いながら、陰で日本軍と通じ、共同で当時の中華民国政府を瓦解させたのだ。(中略)そもそも、中国共産党か政権を樹立した後、毛沢東は尖閣諸島は日本の領土であるとはっきり認めている。こんなちっぽけな島など取るに足りない、と」(「赤い中国消滅 張り子の虎の内幕」113Pより)

 国内で習近平が顔色を窺っている毛沢東左派だが、本家本元である当の本人は尖閣にはちっとも興味を持っていなかったとは皮肉な話である。

 また、今や強気に尖閣周辺での軍事的圧力を増している中国だが、以前は日本に対し衝突を回避しようとしていたという。ここ数日のニュースからは想像もできないような話だが、その裏には国民に対して権力を誇示したい、いわゆる中国共産党の思惑と面子があるという。

「北京はあらゆるルートを通じて、再三にわたって日本政府に対し、中国政府の面子を保ってくれるよう求めたが、日本は聞き入れなかった。(中略)日本政府の尖閣国有化によって、中国政府の面子は丸つぶれとなった。 日本の尖閣諸島国有化によって、中国国内の世論が沸騰することは明らかであり、中国政府は国民に対して面目が立たない。必ずや何らかの意志表明、あるいは行動を起こし、 面子を挽回しなければならない。それが、海監の船艇・航空機や、海軍の艦艇、戦闘機を 再三にわたって尖閣諸島へ接近させた理由である。」(「赤い中国消滅 張り子の虎の内幕」134Pより)

 尖閣諸島近辺での挑発的な行動も、弱く見られたくないというコンプレックスの裏返しだったとしたら、拍子抜けである。できれば日本は巻き込まないでほしいものだ。

◆人民日報でも「尖閣諸島は日本のもの」

 尖閣諸島が日本のものだと主張しているのは毛沢東だけではない。共産党のお抱えメディアである人民日報にいたっては、尖閣が日本のものだと認めるばかりか、「そんなこと言ってませんから!アメリカの捏造ですよ!」と逆ギレしていたというのだ。

「1953年から1958年までに中国共産党機関紙『人民日報』が発表した社説と論文は、『琉球諸島は尖閣諸島を含む』と指摘したうえで、『これらの島嶼は過去いかなる国際協定においても日本を離脱したとの規定がなされていない』と認めている。さらに、いわゆる『中国は琉球の主権を絶対に放棄しない』との言葉は『米国が捏造したもの』であり、中日両国に対する『邪悪な挑発』で、『その目的は日本への帰還を強く望む(沖縄 住民の)感情に打撃を与えることにある』と米国を激しく非難する声明を発表した。」(「赤い中国消滅 張り子の虎の内幕」125Pより)

 最近では沖縄も中国のものだと主張していたはずだがが、かつては人民日報までがこう書いていたのである。とても今の紙面からは想像もできないような内容である。仮にも公器である新聞で、こうも簡単に手のひらを返すところがいかにも中国らしいといえば、中国らしい。そのうち「実はあの発言は日本によってねつ造された」と言いかねない。

 ちなみに、なぜこのような発言を当時行っていたのかというと、日中国交正常化に際し、尖閣や沖縄の領有権を主張する勢力が中国国内にもいたのだが、それが日本側に伝わると国交正常化の妨げになると当時の毛沢東など中国政府は懸念したのである。そのため、そういうことを言ってる人たちはアメリカが仕込んだことだと流布したわけである。

 このように尖閣諸島をめぐる中国の姿勢は時代や状況とともにコロコロ変化をしている。しかし、もし本当に軍事的な衝突が起きたらどうなってしまうのかと不安は拭いきれない。ところが本書で陳氏は腐敗まみれの中国人民解放軍は日本に勝てるわけがないと指摘している。

【陳破空(Chen Pokong)】
1963年四川省生まれ。上海同済大学在学中に学生運動の中心メンバーとして天安門事件に参加。2度の投獄を経てアメリカに亡命。現在はニューヨーク在住。2009年に共産党の内部事情を鋭く描いた『中南海厚黒学』、中国とアメリカについて書かれた『もし中米が開戦したら』がともに香港、台湾でベストセラーに。ほかにも著書多数。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍中。今回、扶桑社より日本初の著書「赤い中国消滅 張り子の虎の内幕」を上梓。自身の半生から腐敗する人民解放軍、習近平と薄熙来の親子二代にわたる血で血を洗う政争など、中国の国内事情に鋭く斬り込んでいる。

<文/SPA!中国問題追及班>

赤い中国消滅 張り子の虎の内幕

中国共産党の内情から尖閣問題、対日政策など崩壊寸前のあきれた国の実情とは?

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