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マイルドヤンキーは、地域再生に欠かせない存在

「ヤンキー経済」という言葉が注目を集めている。現代の消費のキーワードは、地方都市のマジョリティである地元族の若者たちが担っているという見方だ。大企業も注目し始めた彼らの未来を識者に解説してもらった ◆マイルドヤンキーは歴史の必然! 地方の雇用創出が今後の課題 福岡空港周辺 ヤンキー経済やマイルドヤンキーについて見てきたが、その言葉の生みの親である博報堂ブランドデザイン研究所・原田曜平氏は、彼らの未来をこう分析する。 「マイルドヤンキーの未来について、僕は2つの方向があると思います。ひとつは、前向きに考えれば、日本がやっと成熟社会になったということ。同様の現象は’80年代後半のアメリカですでにあったし、中国の都市部など東アジアも同じ傾向が徐々に出てきつつある。“成熟病”と言えば言葉は悪いが、社会や企業もこれを歴史的必然として考えるべきでしょう」  もうひとつの方向は、少し悲観的だ。 「著書ではあえて提示しなかったのですが、彼らは最低限のライフラインを親に頼っており、何かしらのパラサイト状態にある人が多い。彼らの親の世代は、バブル世代から新人類で、いわば『最後の逃げ切り世代』。正社員比率も非常に高く、お金もある。今後、非正規雇用や貧困化が顕在化した団塊ジュニアを親に持つ子供たちが育てば、マイルドヤンキーのようなライフスタイルを送るのは難しいのではないか。そう考えると、ヤンキー経済は一過性のものになるかもしれません」  しかし、現状ではマイルドヤンキーは大きな消費層になる可能性を秘めており、日本経済を牽引していく存在になりつつある。企業もようやく注目し始めた。 「彼らが存続するかどうかは、生活圏内にある程度の雇用が確保できるかどうかにかかっている。地方に雇用を創出する政策を政府はしっかりやるべきです。人口1億人を超える大国なのに、首都に経済が一極集中している国は日本以外にはない。マイルドヤンキーをマイルドヤンキーでいさせてあげるために、こうした弊害を是正していくべきだと考えます。一部の大企業が今、『地域限定社員』という制度を始めていますが、こういう試みはどんどん増えてほしい」  仲間や地元を愛し、大切にするマイルドヤンキーは、地域再生に欠かせない存在だ。だからこそ、彼らが生き続けられる仕組みが必要なのだ。 【原田曜平氏】 ’77年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、博報堂に入社。現在、博報堂ブランドデザイン若者生活研究所リーダー。著書に『近頃の若者はなぜダメなのか』(光文社)など多数 取材・文/鈴木大介 イラスト/ホセ・フランキー ― [ヤンキー経済]知られざる消費と本音【6】 ―
ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体

日本経済「成長の終焉」で出現したマイルドヤンキーの生態とは?

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