「上京したら負け」マイルドヤンキー女性が語る地方の現実
「ヤンキー経済」という言葉が注目を集めている。現代の消費のキーワードは、地方都市のマジョリティである地元族の若者たちが担っているという見方だ。大企業も注目し始めた彼らのライフスタイルと独特の思想・本音を聞いてみた!
◆独特の本音と思考でわかった、地元と仲間への深すぎる愛
外見はパッと見、かつてのヤンキーを彷彿とさせる彼らだが、決してバカではない。意外にも彼らの主義主張や本音は、シビアに日本の現状を分析している。その近未来ビジョンは、主に「仕事」「恋愛」「友達」「結婚」で構成されている。
まず仕事について特徴的なのは上京(都市部に行く)志向がないということだ。その理由は?
「上京したら負けって感じがあるんですよ。特に女は地元に仕事が少ないから、鞄ひとつ持って東京に出てシェアハウスに住む……みたいなコもいるけど、やっぱり一人暮らしってお金がかかる。せっかく上京しても、貧乏になったコも周りに多い。特に女の場合、上京したら100%、婚期を逃しますよね。地元は若い女が少ない分、多少ブサイクでも彼氏ができますし、さっさと共稼ぎになったほうが生活も人生も充実するじゃないですか」(茨城県・21歳♀)
これがマイルドヤンキーの女性の仕事観だ。「仕事も恋愛も結婚も生活安定のため」という感覚があり、結婚・出産願望は非常に強い。
「婚期は大事。晩婚化とか何それ? だって地元で仕事続けても、女は30代で賃金は頭打ち。むしろ年食うほどマトモな仕事がなくなる。だからカネはなくても体力がある20代で第1子を産み、30歳になる前に気合で子供を小学校に上げちゃう! 周りの同世代が一気に子供を産めば、子育ても協力し合えるし、絶対、乗り遅れちゃマズいっす」(茨城県・23歳♀)
逆算すると、24歳には結婚・出産が理想。23歳だという彼女の言葉には焦りが感じられた。
一方、男子は若干ノリが違う。女子は「地元で仕事すれば低所得でも工夫すれば生活OK」「仲間がいれば気合で乗り越えられる」という考え方なのに対し、「女は気楽ですよね」とぼやく。
「女と違って、男は低賃金でもいいって考え方はそんなにないと思う。少なくとも男で25歳だったら手取り20万円ないと、まず女で苦労する(彼女ができない)。でも結局、地元企業に入っても、勤務地が都市部だったり1時間以上かけて東京通勤だったりする。例えば同じ住宅の鉄筋職人だったら、地元の現場で日給1万ってとこが、都内だと1万5000円ってぐらいの差はあるし、仕事の量自体が地元は少ない。だったら、むしろ正社員を狙うのはもうやめねぇ? みたいな結論ですかね、俺らは」(千葉県・26歳♂)
非正規雇用人口の増加と貧困問題が取りざたされるなか、マイルドヤンキー男子の職業感覚はずばり、「非正規のダブルワーク」だ。
「ベストは公務員。それも警官とか消防署員とか地元貢献って感じのがいい。フルタイムで正社員やっても結局、保険や年金が引かれて、手取りが寒いことになる。だったらバイトとか派遣の掛け持ちをしたほうが、全然、手元に残る現金が多いんです。年金とか将来もらえるかわからないし、税金や保険関係は結婚して子供ができてから考えればいい」(同)
驚くことにこの男性は、現在健康保険は親の扶養扱いだ。色黒で短髪の悪羅悪羅系な外見とのギャップがあまりにも激しい。だが、親払いのクレジットカードを持ち、携帯の代金まで親が払っている例もあるのだ。
「恥ずかしい? いや、高校1年生でバイト始めてから、ずっと親にお金を入れ続けてるんで。親と自分とどっちが多く払ってるかとか考えない。そもそも俺、長男なんで、いずれ親の面倒は見なけりゃならないワケで、あまり自分と親のお金を区別する意味はないと思うけど」(埼玉県・27歳♂)
大人としての自覚があるのか、ないのかわからないが、男女とも「地元から出たくない」理由に、そこで生きるのが最もローリスクという“計算”が垣間見えた。
【マイルドヤンキー「心」のキーワード】
●上京したら負け
「地元は仕事が少ないから上京組も多いけど、上京して失敗すると地元にいるより貧乏で苦労する。女の場合、地元は若い女が少ないので、ブサイクでもモテる」(茨城県・21歳♀)
●正規雇用より非正規Wワーク
「正規雇用より、非正規のダブルワーク派が多い。社会保険や年金が天引きされて手取りが減るより、バイト掛け持ちのほうが手元の現金が増えるんで!」(千葉県・26歳♂)
●親払いのクレカ
「親のカードや親払いの携帯電話をまだ使っている。依存ではなく、いずれ親の面倒を俺らが見るんだから、親のカネは自分のカネ、自分のカネは親のカネ」(埼玉県・27歳♂)
※写真はイメージです
― [ヤンキー経済]知られざる消費と本音【3】 ―

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