「お土産」目当てで“総会ハシゴ”する株主たち
個人投資家が増加し、企業は株主総会に来てもらおうと「お土産」を用意するなど、さまざまな工夫をしている。行った人だけがもらえる「総会土産」の最新事情を紹介!
⇒【前編】『株主総会でもらえる(得)お土産ガイド』https://nikkan-spa.jp/688231
◆事前に計画し、一日で10件以上も回る人も!?
実は株主総会のお土産は、総会に出席しなくてももらうことができる。つまり、お土産だけもらってすぐ帰ってもOKなのだ。なかには株主総会のお土産目当てで、“総会ハシゴ”をする株主もいるのだとか。
「株主総会って、ホテルや大型のホールなどで開かれることが多いんです。ですから、総会が集中する時期であれば、例えば品川駅周辺だけでも一気に何社もの総会に参加することもできるんです。品川プリンスホテルやグランドプリンスホテル高輪など、大きな会場がいくつもありますから」(ブログ「株主総会お土産日記」を書き、この5年で500件以上もの株主総会に出席したというmtipsさん)
朝10時から株主総会が開催される企業では9時から受け付けが始まるところが多いので、「9時に○○に行って、次は10時に△△に行って……」とあらかじめ計画。しかも、JRも東京メトロも都営地下鉄も乗り放題となる「スーパー周遊きっぷ」などを買って、一日で10件以上も総会を巡り、お土産の“回収”に走る人もいるとか。企業は企業で、「総会に出席される方」と「お土産を受け取る方」と割り切って、受付を分けているところも多いという。
◆コスト増、不公平感から中止する企業も
一方で、「総会土産には不満の声も上がり、中止する企業も増えている」と指摘するのは、フィスコのアナリスト・小川佳紀氏。どんなに大株主でも基本的にお土産は一人1品だし、株主総会は大都市で開催されることが多いため、地方在住者に不公平感が生じている。また、お土産を用意するだけでも、相当なコストがかかる。
「外資系ファンドなど外国人投資家からは『株主優待やお土産はやめて配当を増やせ』という声も出ています。業績や株主の平等性、株主数増加によるコストの問題から、ソニーのようにお土産を中止する企業が増えているのも特徴です。食事券がもらえたココスジャパンや吉野家HDでは前年より6~7割も出席者が減りました。そういった企業ではお土産を中止する代わりに、配当や優待で充実させるスタンスです」(小川氏)
地方企業は地元で株主総会を開くことも多い。
「地方在住の方はそういう企業を見つけて株主になって、総会に参加して応援するのも、楽しい株式投資です」(mtipsさん)
【株主総会のお土産の例】
●キャンドゥ
[東証1部・9449]最低購入価格:11万6300円
くまポンギフト券2000円分、チョコレート菓子、エコバッグ、ボールペン、お水がセットのお土産。総会では社長の受け答えから、企業の姿勢も見えてくる
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=688342
●バンダイナムコHD
[東証1部・7832]最低購入価格:23万7700円
ガンダム35周年の今年は、お土産にガンプラ、記念ステッカー、年内まで使える「浅草花やしき」の1日フリーパス引換券。会場内ではガンダムのパネルも展示
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●東急レクリエーション
[東証2部・9631]最低購入価格:63万7000円
3月下旬に自社映画館である新宿TOKYU MILANOで総会が開催された。お菓子セットと、4月末まで有効だった新宿の映画館で使える映画鑑賞券も
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●ダイオーズ
[東証1部・4653]最低購入価格:9万7300円
オフィス向けにコーヒーやお茶などのドリンクマシンを提供する企業。最後まで総会に出席した株主に、200杯分のコーヒーセットが後日郵送された
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※株価は7月18日の終値
取材・文/SA編集室 横山 薫(本誌)
― 株主総会でもらえる(得)お土産ガイド【2】 ―
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