アリさんマークの引越社副社長が批判に反論「すべては従業員を守るためにやったこと」

’15年度のブラック企業大賞に彗星のごとく現れた「アリさんマークの引越社」でお馴染みの(株)引越社関東。シュレッダー係というお仕置き係の存在や労働組合への恫喝動画などがネット上に配信され、一気に炎上した。そこで、ブラック企業認定され、恫喝動画の当事者でもある副社長・井ノ口晃平氏を直撃した。

<アリさんマークの引越社はいかに炎上したのか?>
’15年8月、社員Aがユニオンへ加入したことに端を発し、長時間労働や不当な弁償金制度などを次々と告発。関東本社前で井ノ口氏がユニオン側に対して声を荒らげた動画が「恫喝動画」として注目を浴び、その後、各メディアが「シュレッダー係」「社員同士の飲酒禁止」など過酷な同社ルールを報じ、大炎上。11月29日に行われたブラック企業大賞では、「アリ得ないで賞」を受賞している。

――今回の騒動は、多方面で大きく報じられました。

シュレッダー係

シュレッダーが並ぶ一角にパイプ椅子が一脚。ここに目立つオレンジの制服を着て佇むのがシュレッダー係だ。更生を促すための処分だとか

「まず言いたいのは、労基署の調査で違反行為と認められたのは深夜残業の未払いと労働時間の超過、それぞれ1件ずつだけ。そこは直ちに対応し、改善しました。こうした問題を放置するのが本当のブラック企業だと思うんです。ほかにも弊社が車両事故を起こした社員Aに48万円の弁償金を請求し、給料から天引きしたなどの報道もありましたが、それは、その社員が正月明けの1月10日、しかも営業前の出勤中に起こした事故だったから。それも結局は、1円も彼から徴収できていません」

――では、シュレッダー係はどうですか。一日中、シュレッダーをかけさせ、罪状を書いた指名手配のような張り紙をするのは、ブラック企業認定されても仕方のない、行きすぎた処分だと思いますが。

「弊社を訴えている社員Aは遅刻癖があり、先ほどの事故もあって営業からアポイント部へ異動。それでも遅刻を繰り返した。社内の規律を乱さぬため、頭を冷やす処分としてシュレッダー係を担当させたわけです。そもそも社員Aの主張は一方的すぎます。妥結案を話し合っているのに、『生涯賃金を支払え』とか。そんな法外な要求に応じられるわけがない! そんななか、相手の挑発行為に乗って恫喝動画を撮られてしまい……まさかあれほど編集されて配信されるとは思いませんでした」

――御社に厳しいルールや処分が散見されるのは、なぜですか?

「半分はお客様のため、半分は社員をクビにしないためです。引っ越し業という性格上、いろいろな事情の人間が働いています。正直、高卒者や中卒者がほとんどで学歴も高くない。彼らがもし飲酒運転や窃盗をすれば、当然解雇せざるを得なくなり、社員の家族も含めて路頭に迷ってしまう。そうした事態を未然に防ぐため、社員教育と規律の遵守を徹底している次第です。リーマン・ショック時も『給料を3%減』の同意書を社員全員に配布。みんなから同意を得て、一人も解雇することなく乗り越えることができました」

――ブラックな側面が報じられていますが、ホワイトな部分はありますか?

「完全に実力主義なところです。成績は社員ポイントで厳格に査定し、逆に上司を社員が査定する制度もあります。真面目に働いている社員にはやる気の出る労働環境だと思いますよ。配偶者の誕生日には3万円を贈りますし、結婚記念日には有給休暇。また、普段は複数人の社員同士の飲酒は禁止ですが、年に3回、成績優秀支店を表彰するときだけは許可しています。ただし、ドライバー全員の車の鍵を預かり、家までの送迎付き。絶対に飲酒運転はさせません!」

――今回「ブラック企業」と名指しされた率直な感想は?

「何より悔しいのは、ブラック企業と言われることで、社員が誇りを持って働けなくなることですね。……もうこれ以上、社員の尊厳を傷つけないでほしいです」

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/西田 航>

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