長渕剛が振り返る富士山麓ライブ。観客10万人、スタッフ2600人、カメラ45台etc.…なぜ、ここまでして?
昨年8月、富士山麓で観客10万人を集めた「伝説のオールナイトライブ」から7か月。すべてが“前例のないスケール”だったため当時は賛否両論を巻き起こしたが、開催までに1年半をかけ、命を賭して朝まで歌い続けた長渕剛は10万人とともに迎えたあの“朝日”の先に何を見たのか? “伝説の一夜”を終えた瞬間、誰よりも熱く、本気で生きる男の胸に去来したものとはいったい何だったのか。ライターの武田砂鉄が迫る――
――富士山麓ライブの模様を収めた作品『富士山麓ALL NIGHTLIVE 2015』が発売されました。まずは、作品化するうえで苦心した点を教えてください。
長渕:今回のライブではなんと45台ものカメラが設置されていたんです(笑)。だから動画編集もあり得ないほど大変です。すべてのカメラをチェックするのに膨大な時間と努力が必要でした。そして「よし!」という瞬間を探していきました。
――その「よし!」の決め手となるのは長渕さんの主観ですか?
長渕:主観と客観の両方です。予想外の悪循環でのリハーサルを2600人のスタッフが一丸となって堂々と作り上げた。彼らの誇りと、来てくれた10万人の人々の思いをあますところなく、後世に伝えられるものを作らなければいけない。そのことを映像で残すのが自分への指令であると捉えていましたね。
――その客観視は、今回のライブの意義をどのように捉えましたか?
長渕:やはり、一番伝えたかったことは「命の燃焼」なんです。10万人の命が一つの命となったときに、いかなる動きを見せるものなのか、と。今、僕たちは、嫉妬・やっかみの時代を生きています。ライブの前も後も、散々なことを言われました。だからこそ、それに打ち勝つものを作りました。「結果で勝負するのだ!」と。やる前から一丸となり、決めていましたからね。
――とても雑な質問になりますが、「なぜ、ここまでして」という問いにはどう答えられますか?
長渕:あの太陽です。僕らが見た太陽です。ライブ終盤の明け方、富士の裾野から出てくる太陽を皆で見つめました。神々が宿る霊峰富士に向かって、我々は何十年か分のストレスや不安や疑念をすべて投げつけた。僕は10日前に会場に入りましたが、雨が降らないと言われていた会場では雨が続き、連日連夜「とにかくやりきるぞ」という思いでスタッフも僕もゾンビのように動き続けた。全員ぶっ倒れそうでした。それでも激励と叱咤を重ねて乗り越えた。そして、当日あの太陽を共にしたんです。
※このインタビューは週刊SPA!3/22・29合併号のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
取材・文/武田砂鉄 撮影/中川容邦

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