「発展途上国支援ランキング」で日本が過小評価された理由
国境なき記者団が4月に発表した「報道の自由度ランキング」で日本は11位もランクダウンし、まさかの72位となった。あまりの順位低下ぶりにさまざまな議論が巻き起こったのは記憶に新しい。しかし、これ以外の世界ランキングでも日本は負け続けていた! 日本が抱える“課題”を映し出すランキングと低順位になった真の理由を探った!
<発展途上国支援ランキング>
順位/国名/指数
27位 日本 4.1(ワースト1位)
26位 韓国 4.3
:
21位 アメリカ 4.6
:
3位 ノルウェー 5.7
2位 スウェーデン 5.8
1位 デンマーク 6.1
※出典:世界開発センター
このランキングで「日本は過小に評価されている」と言うのは獨協大学の木原隆司教授だ。
「発展途上国支援ランキングを発表している世界開発センターが作った開発コミットメント指標などのを見ると、支援とは関係性が薄い項目が多く含まれています。その項目の設定も非常に恣意的」
なお、ランキングの根拠になっている指標には安全保障、途上国の農産物に対する関税率など、さまざまな項目が含まれる。
「日本は軍隊を海外に派遣していないので、安全保障分野ではスコアは低くなる。そもそも、それが途上国の発展と関係があるのか、しっかり問い直されるべき。また、農産物の関税率で低いスコアになっていますが、日本の場合、工業品の関税率は低く、ほとんど無税に近い。ですが、後者は指標には含まれません」(木原氏)
これまで、日本政府や関係者は、指標の是正を求めてきたが、必ずしも十分な改善には至っていない。欧米の支援スタイルや、実務関係者の恣意的な尺度で作られたランキングとなっているため、後塵を拝しているというのが実態のようだ。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
【木原隆司氏】
きはら・たかし●獨協大学経済学部教授。財務省、外務省、米州開発銀行、アジア開発銀行研究所などにて勤務。著書に『援助ドナーの経済学』(日本評論社)
『援助ドナーの経済学』 情けはひとのためならず |
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