中国の有人月面探査計画を漫画が先取りしていた
【科学技術編】
『MOOMLIGHT MILE』で中国が米国と月面の覇権争い ⇒ 中国が有人月面探査計画を発表
近未来の宇宙開発をリアルに描いたマンガ『MOONLIGHT MILE』では、地球軌道や月を舞台に、米国と中国の間で生じる軍事や月面のエネルギー利権の衝突が展開されている。
「宇宙開発って、やはり軍事利用と利権の奪い合いからは逃れられないと思うんです。どんなにキレイごとを並べようと、それが本質。だから、イデオロギーの対立やテロ、飢餓や貧困といった諸問題がそのまま宇宙開発にも持ち込まれ、影を落とす……という筋書きは最初から頭にありました」と語るのは、作者の太田垣康男氏。
’02年の時点で、中国による有人宇宙飛行の成功と独自の月面調査計画発表を作中で描いているが、現実には’03年に中国初の有人宇宙船「神舟5号」が成功し、将来の月調査・滞在をめざす「嫦娥計画」の始動が発表されたのだ。
「たまたま現実に先んじる形になりましたが、僕に特別、先見の明があったわけじゃない。中国が地道にロケット開発を続けていることは以前から知られていましたから。ただ、あれだけの人口を持つ国ですから、将来のエネルギー問題もシャレにならないでしょうし、共産主義国家独特の秘密主義というか、国の威信のためなら何をするかわからない不気味さが宇宙開発にも表れたら、ちょっと怖いな……と考えて、宇宙の覇権と利権を巡る米国と中国の対立構図を描いているところはあります。個人的には、とりわけ親米でも嫌中でもないんですけどね(苦笑)」
有人飛行成功よりも、中国が開発を進めているというレーザー兵器(作中ではすでに登場)が気になる、という太田垣氏。物語の中でこれから描かれる未来と、現実の宇宙開発がどのくらいリンクするのか、興味は尽きない。
◆『MOONLIGHT MILE』:「ビッグコミックスペリオール」にて連載中。単行本は最新17巻が発売中。’07年にはアニメ化もされた人気作だ。
― 続発する[フィクションの現実化]を大検証【5】 ―
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