雑学

原爆からネット社会までSF小説が予測した未来

19世紀の時点で核ミサイルのような兵器を描いていた、ジュール・ヴェルヌの『悪魔の発明』みたいな例もありますが、最も顕著な未来予測は今のネット社会かも。たとえば、’85年に発表されたオースン・スコット・カードの『エンダーのゲーム』では現代のブログ論壇が予見されています。ネット上に変名で書かれた記事が世の中を動かすという設定は、20年後に現実化しました。

 もっと過去に遡ると、’60年代にコードウェイナー・スミスが『ノーストリリア』でコンピュータを利用した先物取引による国家規模の売買を描いてますが、今でいうデイトレーダーが一日で何十億を動かすのに似てますよね。まあ、小説では男の子がコンピュータにお願いして、最後は地球も買っちゃった、みたいに寓話的な話になってるんですが(笑)。

’70年の小松左京氏『継ぐのは誰か』という近未来SFミステリには、携帯電話や警察が犯罪記録データベースをオンラインで調べるシーンがあります。

 ただ、SFの場合、小説が未来を予測したというより、小説が現実に影響を与えた部分も大きいと思う。かつてSF小説やマンガを読んだ人が「こういうものを作りたい」と、開発に携わり実現化した例は多々あるでしょうし。それでいうと、50~60年前に描かれた21世紀は、月旅行や、自律ロボットなどが当然のように出てきたわけだから、現実はSFにまだまだ追いついてないとも言えますね。

【大森 望】
’61年生まれ。翻訳家、評論家。SFを中心に幅広い分野で活躍。豊崎由美との共著『文学賞メッタ斬り!』シリーズはベストセラーに

― 続発する[フィクションの現実化]を大検証【7】 ―

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