障がい者スポーツの「容赦のなさ」に競技としての面白さを感じた【スポーツジャーナリスト生島淳】
開会までいよいよとなったリオデジャネイロ五輪。そちらももちろん気になるところだが、その1か月後の9月7日からスタートするリオデジャネイロ・パラリンピックも見逃せない。普段あまり目にすることのない、パラスポーツの魅力に迫る。
【生島淳 寄稿文】
どうせ、障がい者スポーツでしょ? ハンディキャップがある人たちが、頑張ってるんだよね? なんだか、かわいそう……。
パラリンピックが近づいてきているが、障がい者スポーツについて、そう感じたことはないだろうか。実際、私にはそう思っていた時期があった。
お金を払って見たり、取材するまでの「価値」はないと感じていたのだ。ところが――。2つの競技が私の考え方を根本から覆した。
はじめ、衝撃を受けたのは車椅子バスケットボールである。全日本選手権を見たところ、かなり激しいのだ。
健常者のバスケと同じくスクリーンがある。進路を妨害しようと、車椅子で割り込む。バランスを崩して車椅子が倒れる。危ねえな……と思って見ていると、誰も起こしてくれない。選手は自力で起きあがらなくてはいけないのだ。
おいおい、相互扶助の精神とかないのか? ないのだ。選手は独力で起きあがる。もともと、転んだほうが悪い。
また、障がいの程度によって「持ち点」が決められており、軽ければ4.5点、重度のものだと1.0という点が選手に与えられる。面白いのは、コートでプレーする選手5人の合計点を14点以下になるよう、監督は調整しなければならないことだ。
ここに戦略性が生まれる。4.5点の選手を2枚入れると、残りは5点分。それをどう使うか。障がいの重い選手はディフェンス時にどんどん狙われてしまう。
私はこの「容赦のなさ」に競技としての面白さを感じた。
だが、ディフェンスでやられたら、3ポイントシュートでやり返す選手がいた。車椅子バスケの世界には、とんでもなくシュートがうまい選手がいるのだ。
競技力や選手のキャラが色濃く映るパラスポーツの可能性と醍醐味
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