「椎間板ヘルニアの手術を受けたのに腰が痛い!」医療不信になった46歳男性の迷走
その後、セカンドオピニオンを取得するべく他の医療機関を受診した磯田さんだが、不信はかえって増幅するばかりだった。
「『完治しないこともある』と言う人もいれば、『それって本当は手術なんてしてないんじゃないの?』なんて信じられないことを言ってくる医者もいた。もう何を信じていいのか、わからなくなってしまいました」
それでもヘルニアの激痛はやまない。痛みを軽減するため、磯田さんが最後に頼った先は地元の整形外科だ。
「すごく効く注射があるということで、“ブロック注射”を打ったんです。そしたら、痛みがすぐに消えました」
ブロック注射は、痛みに対して過剰反応を起こした神経を一時的に麻痺させるもの。これ以来、磯田さんは週に一度のブロック注射を続けることで症状を抑えている。
「整形外科は『ブロック注射はヘルニアを根治させる治療じゃない』と繰り返しますが、私はほぼこれで完治しているつもりなんです。だって、たまに注射を3週間くらい打たなくても痛くないんだから。もう治っているのと同じでしょ?」
すでに腰痛を完治させる意思すら残っていない磯田さん。前もって正しい医療知識を得る重要さが今なら身に染みるだろう。
<桑満おさむ先生(五本木クリニック院長)の診断>
★腰痛は再発もあり得る。医療ミスとは考えません
腰痛は「手術をしてもしなくても5年後の結果は同じ」と言われ、痛みが戻るのもよくあることです。ブロック注射による完治はありえませんが、痛みが落ち着くことで姿勢が改善され、緩和する可能性もあります
【桑満おさむ氏】
五本木クリニック院長。’86年、横浜市立大学医学部卒業。同大学病院勤務を経て現職。地域に密着した診療の傍ら、ニセ医学に関するブログを執筆
― 過熱する[医療不信]が危ない! ―
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