作家・冲方丁が1年前の逮捕・勾留を振り返る「警察が圧倒的に有利な司法ゲーム。耐えて打ち勝つしかない」
「勾留中の扱いもひどいもんでしたね。ある日の食事なんて食パンとマーガリンだけ。畳み方を間違えれば布団は没収。当然誰とも連絡もとれない。驚いたのは、留置場で使うために支給された歯ブラシや石鹸が有料だからと、僕の財布から目の前で勝手にお金を抜き取られたこと。警察にかつあげされちゃいました(笑)」
孤独な闘いであることも精神的にきつかったという。
「中立のはずの裁判官は僕の勾留延長の可否を判断する時、こちらを見もせずに認否を尋ねて、否認したら5秒で延長決定しました。本当に味方はいないんだと思い知らされましたね。逮捕された瞬間から彼らの作ったストーリー通りに進行し、勝利=有罪にどうやって運ぶかでしかない。そういうゲームなんです」
そのゲームで敗北しないためにはどうすればよいのか。
「やはりつらくとも屈しないこと。それと正攻法だけでなく、相手がいる場合は、弁護士や家族を通して被害届の取り下げを頼む方法も。これは留置場内で同室だった人たちから教わりました(笑)」
〈取材・文/河本翔平〉
【冲方 丁】
’77年、岐阜県生まれ。作家。’10年、『天地明察』(角川書店)で第7回本屋大賞受賞。8月26日に世間を騒がせたDV事件の顛末をつづった『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』(集英社インターナショナル)を上梓
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『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』 閉じ込められた驚愕の9日間! |
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