源氏物語が男性にも受け入れられてきた理由――紫式部は男性心理を読み取る能力がズバ抜けている!?
なぜ、源氏物語が男性にも好まれたのか? それは、このお話が当時の男心をリアルに描いているからではないでしょうか。 源氏物語といえば、「主人公・光源氏と恋人となった女性達の話」と紹介されることが多いですよね。しかし、よくよく見てみると、政争や男同士の友情など、男性を中心としたシーンもかなりの数です。 その中で、現代の男性にも共感を得られそうなシーンが序盤にあります。 俗に「雨夜の品定め」と呼ばれる場面です。 帖(じょう・源氏物語における“章”のようなもの)の名前としては、「箒木(ははきぎ)」の一部。一般的に「光源氏を始めとした若い公卿たちの恋愛談義」として紹介され、サラっと流されることが多いでしょうか。 しかし、ここに出てくる公卿の発言を一つ一つ目に留めてみると、現代の男性もだいたい似たようなことを言うのではないかな、という気がします。 だいたいの雰囲気で訳してみると、こんな感じです。 「学がありすぎる女は、毎日顔を合わせていると息が詰まる」 「上流すぎるとこちらも気を使うが、かといって下賤の者では興醒めだ」 「身分も知力も真ん中くらいの女性が、恋の相手として一番面白い」 現代では男女どちら側からでも言えそうですけれども、これが当時の貴族男性の本音だったのでしょう。 これを紫式部という“女性”が書いたのだとしたら、とんでもない観察力と表現力ですよね。 まあ、源氏物語は紫式部以外の人間によって写された際、いろいろなエピソードが追加された可能性があるともいわれています。手書きで写していた時代は、原書に忠実なことよりも、「より面白くする」ことが目的とされることもあったからです。 ですので、「紫式部が現在知られているようなエピソードをすべて書いた」という可能性はフィフティ・フィフティといったところではあるのですが……。「身分も知力も真ん中くらいの女性が、恋の相手として一番面白い」
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