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銀行で金融商品を「買ってはいけない」これだけの理由

大金

自分の預金、毎月の収入などを把握されていることも忘れてはならない。大金が入ったときなど、誘い水がのるまま、勢いで買うことのないように

一昔前まで銀行の主な運用手段といえば、企業、個人への融資で利息を得るものだったが、ここ数年特に力を入れているのが投資信託(投信)や保険商品の販売。

「金融のプロである販売担当の行員が勧める商品であれば間違いないと早合点するのは危うい」と警鐘を鳴らすのはアナリストのA氏。

「そもそも銀行の窓口販売の歴史は10年弱と浅い。銀行に自社商品を持ち込む運用会社も、商品の内容については教えるけど、金融の基本を教えるわけではありません。行員に運用のアドバイスを求めるのは無理のある話なのです」

事実、A氏が販売担当者に直接取材をしたところ、その金融知識の浅さには閉口するばかりであったという。

「ギリシャショックで顧客からの問い合わせがあっても、値下がりの理由について明確な答えをできなかったという人もいれば、販売する商品について、値動きの指標を提示できない人もいました。中には、『手数料が高い投信が優秀なんじゃないですか?』なんて腰を抜かすような発言をする行員もいたほどです(笑)。商品を『売る知識』しかないということは、例えば『この商品はどれくらいの期間持って、どのタイミングで売ればいいですか?』というまっとうな質問に対して、何ら専門家としての回答を出せないわけです」

その一方で、商品を良く見せるためのセールストーク、データの用意にはおこたりがない。以下、銀行窓口で頻出する投信セールスとその本音についてA氏に語ってもらった。

【1】好景気が期待できます

「通貨選択型ブラジルレアルコース」など、新興国向けの投信で多出。ブラジルでいえば、「2014年ワールドカップ」、「2016年オリンピック」と景気の良さそうなニュースに目移りするが、商品そのものの値動きは必ずしもその国の経済動向と一致するわけではない。少なくとも数か月~1年程度の短期では、経済成長うんぬんよりも投資マネーの動向のほうが大きな影響を与える。もともと、先進国に比べれば市場規模が桁違いに小さいので、投資マネーの影響による、ボラティリティが非常に大きいのが新興国市場の特徴だ。

【2】人気のある商品です

売れている商品の大半は退職世代が買っている商品。ある程度の大口の投資金と資金余力がないと「手数料負け」するものが多い。

【3】新商品なので募集口数に限りがあります

販売手数料で稼ぎたい銀行、運用会社にしてみれば、新商品を続々と出して勧めるのは当たり前だが、肝心の中身(構成銘柄)は同じケースがほとんど。「運用成績がよくないので、こちらに買い換えませんか?」と新商品を勧めてくることもあるので要注意。

【4】高配当、高利回りを強調

販売手数料、委託手数料を差し引いた「実質利回り」を提示することはまずない。用意しているチャートなどの資料も成績がいい部分だけを用意することがあるので、「5年間の騰落率は? 10年間の騰落率は?」と、見えない部分もしっかり質問する必要がある。もちろん、高利回り商品はボラティリティが高く、元本割れのリスクが高いという特徴も認識するべき。

また、最近流行の「投信と定期預金をセットで買うと定期預金の金利は4%」といった商品にも注意が必要。定期預金の金利は3か月ものなど、短期に固定されている場合が多く、年率換算すると1%。仮に投信に100万円、定期預金に100万円と同額をつぎ込んだ場合、投信の手数料が3.15%であれば、購入した時点で2万円近くマイナスとなることがおわかりだろう。

そもそも投資信託の手数料は販売会社によって差がある。ネット証券を利用すれば販売手数料が0%のノーロードファンドが、銀行、証券会社の窓口では3~5%に設定されていることはざら。投資の総合情報サイト「モーニングスター」を見れば、その商品の販売会社ごとの各手数料が一目瞭然。銀行の販売担当者にコンサルティング能力がそれほど期待できないとなれば、高い手数料を払うだけでもバカバカしい。

「誰もが知っている大手銀行だから」と過度に信頼するのは禁物。第一、投信についていえば、銀行が運用の責任を負うわけでもない。

「他人が自分の資産を殖やしてくれるはずがない」、「銀行は預金者のメリットを第一に考えているわけではない」ことを理解すれば、「投資は自分の意志」でするのが、少なくとも正解のようだ。

取材・文/スギナミ




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