ここは、川崎ではない! 横浜市・鶴見の磁場がおかしい――山の民と海の民の確執、南米タウン化が進行、大型スーパー銭湯の乱立…
「あれ、鶴見って川崎じゃなかったの?」
否、鶴見は横浜市である。京浜工業地帯の一角を担う街として、川崎や蒲田と似たようなイメージを思い浮かべる人も多いのではないか。横浜市のホームページによると、人口は約28万人、今年の10月で生誕90周年を迎える。そんな歴史ある街でありながら、横浜と川崎の狭間で埋もれがちではある。
「鶴見をナメるなよ!」
というワケで、今回は日刊SPA!取材班が地元民の意識や知られざる魅力など、鶴見という街について探ってみた。果たして、彼らはハマッ子なの? 不良や外国人、沖縄人が多い? サウナや旅行好き、バックパッカーからも注目されている? 山の民・海の民、盆踊りフェスってなんだ!?
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臨海部には大企業の工場が立ち並び、その中核として機能しているが、それだけではない。隣町の川崎に住み、戦後から街の変遷を客観的に見てきた女性・塚越さん(80代)がこう振り返る。
「いまは昭和の名残がある工業地帯というイメージだけど、もともとは漁業が盛んな街として栄えたの。昔は商店街にもすごく活気があって。物価も安くて、よく海苔などを買いにいったわ。鶴見を訪れるたびに、潮の香りが漂ってきたことを覚えています」
そんな鶴見には、どのような人たちが住んでいるのか。鶴見在住歴20年以上の花田さん(仮名・40代)が言うにはこうだ。
「鶴見駅から山側の北寺尾などはお金持ちなど、少しハイソな人たちが住むエリア。某有名人を付近で見かけたこともありますね。一方で、鶴見川を渡った海側のほうは、少しヤンチャな人たちといいますか……刺青が入ったコワモテとか外国人が多く住んでいて、幼いときは両親から『行ってはダメ』と釘を刺されていました。大人になった現在では、そんなことはないと思いますよ。少しガラは悪いかもしれませんが(笑)」
とはいえ、実際のところ、治安はどうなのだろうか……。“海側”の外国人エリアに住んで2年という別の男性がこう証言する。
「近所には、昭和のトタンの長屋なども珍しくありません。中国や朝鮮の人たちが映画『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいな生活を今でもしています。引っ越してきた当初、朝っぱらからいきなり警察官が20人ぐらいでパンツ一丁のブラジル人を取り囲んでいる光景を目の当たりにして……。さすがに驚きましたが、それ以降は特に危ないと感じたことはありません。そういった犯罪者もなかにはいるのかもしれませんが、自分が住んでいる場所でわざわざ悪さはしないでしょう。下町気質で人情味あふれる街。とても住みやすいですよ」
ともあれ、鶴見駅を境に海側と山側ではまったく雰囲気が異なるらしい。しかし、対象的ではあるが、鶴見のなかで交わる機会も少なくないのだとか。
「そんな“山の民”と“海の民”が一堂に介するのが、7月に行われる總持寺の“み霊祭り”。盆踊りが有名で、お坊さんがノリノリなんです。一部のネットユーザーからは『盆踊りフェス』と呼ばれています。毎年、多くの人で賑わっていて、子どもから大人まで楽しめる夏の風物詩ですね」
そんな鶴見だが、“地元意識”としてはどうなのだろうか。横浜の人たちは「ハマッ子」と呼ばれるほど地元意識が強いことで知られている。しかし、鶴見は横浜市ではあるのだが、位置的には川崎のほうが近い。一般的に「不良は地元意識でつながっている」とも言われるが、鶴見出身の元不良で、現在は普通の社会で働く男性・柴本さん(仮名・30代)に聞いた。
「鶴見は横浜です。“横浜の人間”という意識に揺らぎはありません。とはいえ、若いときにどこで遊んでいたのかと聞かれれば、川崎のほうでした。交友関係も川崎方面の人たちが多かった気がします。もちろん、横浜方面の不良ともつるんでいましたが。いま考えると、中立的な良いポジションだったのかもしれませんね」
鶴見の海側と山側の違い
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