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ここは、川崎ではない! 横浜市・鶴見の磁場がおかしい――山の民と海の民の確執、南米タウン化が進行、大型スーパー銭湯の乱立…

旅人も注目!? 海外の空気感が流れる街

 鶴見には外国人が多く住んでいる。その背景には、このような理由があるのだという。
<明治以降、日本からブラジルやペルーに多くの人が移住しました。この人たちには沖縄の人たちも多く含まれていました。また、大正以降、京浜工業地帯の発展に伴い、仕事を求めて多くの沖縄の人たちが鶴見区に移り住んできました。そして、現在は法改正され、日系3世までであれば日本で働きやすくなっており、その結果、沖縄から南米へ移住した人たちの2世や3世が、鶴見区に住む沖縄出身者の親戚や友人を頼って来日するようになったのです>(引用元:横浜市ホームページ『発見鶴見!~データで見る鶴見区~』より)

 鶴見区に住む外国人の数は約1万人だと言われている。「じつは海外旅行が好きな人にはたまらない街なんです」とは、元バックパッカーで会社員の男性・藤田さん(仮名・30代)。 「潮田などの海側に向かって、すれ違う人たちには外国人が多く、ブラジルやペルーなどの南米系を中心に、中国や朝鮮・韓国人、インド人などを多く見かける。聞こえてくる言語も様々です。地元の学校では、ハーフや混血児の割合が高いとも言われています。海外旅行好きにとって、歩いているだけでも異国情緒が感じられる。軒先にシーサーが置かれているような沖縄の人たちが移り住んできたエリアもあります。街には世界各国の異国料理店が点在しているので、“旅行気分に浸れるグルメタウン”としても注目しています」
異国料理店

様々な国の料理店が並ぶ

 藤田さんは元バックパッカーだが、現在は仕事が忙しく海外旅行をする時間がないことが悩み。そこで、鶴見の異国料理店を巡りながら旅行気分に浸るのがマイブームなのだという。オススメの店を少し案内してもらった。
コキス

コキス・ローストチキン

「本町通り商店街にある『コキス・ローストチキン』はペルーで人気のチェーン店。日本で例えるなら、ケンタッキーみたいな感じですが、鶴見以外に住んでいるペルー人がわざわざ買いにくるほど。定番の1/4 ローストチキンとチャーハンはボリューム満点。小腹が空いているときなどは、牛ハツの串焼きやローストチキンサンドが食べやすくてオススメです。ペルー産クリスタルビールやチチャモラーダ(紫とうもろこしのジュース)、インカコーラなど、南米らしいドリンクも味わってみてください」 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1360510  そこから商店街を歩くと、確かに南米料理店やインド料理店がチラホラ。さらに仲通りから数分。まさに海外のローカルな商店といった雰囲気の『ユリショップ』が見えてくる。
ユリショップ

ユリショップ

「ここでは、南米の食料品やお菓子、アイス、日用品などが売られています。店内の奥には食堂が併設されていて、肉を中心とした本場のブラジル料理が食べられます。とにかく安くて腹一杯まで食べられます」
ピカーニャ  ア カヴァロ

ピカーニャ ア カヴァロ。このボリュームで1000円

大型スーパー銭湯が立ち並ぶサウナ激戦区!

 いま、鶴見は銭湯やサウナ好きからも注目を集めているのだという。もともと鶴見には銭湯が多かったらしい。街の至るところには昔ながらの銭湯が見受けられる。さらに近年、鶴見駅から川崎方面に向かう国道1号(第2京浜)沿いには、大型スーパー銭湯が続々と誕生している。では、オススメはどこなのか。週に1度は鶴見のスーパー銭湯に通っている田中さん(仮名・30代)がこう言う。
スーパー銭湯

国道1号沿いはサウナ激戦区

「なにを求めて行くのかによりますが……中年男性が1人で行くなら昔ながらの雰囲気が残る『ヨコヤマ・ユーランド』。関東屈指の冷たさを誇る水風呂が有名です。『RAKU SPA』は、天然石やアロマキャンドル、プラネタリウムの岩盤浴もあり、女性やファミリー向けと言えます。サウナ好きなら『おふろの国』が面白い。ロウリュウのサービス、そこから派生して“熱波甲子園”や“熱波プロレス”など、個性的なイベントが次々と打ち出されています」  鶴見の駅前からは、各施設への無料送迎バスなども出ている。銭湯やサウナ好きならば、一度は訪れるべきエリアだと言える。

鶴見は奥深い魅力で溢れている

 一般世間の“京浜工業地帯の一角”というイメージだけではなく、その風土から発展した奥深い魅力で溢れている街だということがわかった。首都圏のいわゆる観光スポットなどに飽きたのであれば、鶴見に足を運んでみれば、ディープな世界が楽しませてくれるはずだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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