更新日:2022年10月01日 01:24
エンタメ

プーチンのムキムキや、トランプのアソコをおちょくる曲に全米爆笑! ランディ・ニューマンの風刺芸

トランプ大統領がアソコのデカさを自慢する曲も

「Putin」は『Dark Matter』に収録されたが、彼がトランプ大統領について書いた曲は残念ながら今回はお蔵入りになってしまったという。  詞のテーマは“アソコのサイズを自慢するトランプ”。インタビューで歌詞の一部が披露されていたので、紹介しよう。

オレのアソコはお前のよりデカい ウソじゃないぜ ホントだよ  オレのアソコはお前のよりデカい なんなら証明してやるよ  ほら これがオレのアソコ すんげえだろ  国中のみんなに伝えてくれ 今夜お前が見たモノを>  ニューマンによれば、「いま世間で飛び交っている汚らわしい言葉のやり取りに加担したくないから、世に出さなかった」とのことだが、これも純粋にトランプへの攻撃ではなく、むしろトランプに成りきってみせたからこそ、余計におかしさが増幅されているのは言うまでもない。
 プーチンもトランプも、確かに相対的に善人とは言えないかもしれない。だが、それが同時に絶対的な悪を意味するわけではない。ランディ・ニューマンの風刺は、常にこの点をわきまえているから効くのである。
ランディ・ニューマンのニューアルバム「DARK  MATTER」

ランディ・ニューマンのニューアルバム「DARK MATTER」

バカ正直に権力を批判する“青年の主張”

 ここで再度冒頭の問題提起に戻りたい。こうして見ると、日本のミュージシャンによる権力批判が世間一般に響かないのは、それが中学のホームルームとか青年の主張レベルでとどまっているからなのではないだろうか?  バカ正直に竹槍で歯向かってしまっている。格下の立場のまま、最低限の武器すら持たずに戦に挑んでしまっている。にもかかわらず、やり返される心配がないという確信だけは揺るがないので、“○○ごっこ”に興じているようにしか見えないのだ。  もっとも、安倍総理はバカなのかもしれない。だが、そう言ってみせたところで、りんごはりんごですよと言っているのと何も変わらないだろう。バカにもバカなりの種類がある。それを描き分けることこそ、芸術の役割なのだ。 <TEXT/音楽批評・石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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