更新日:2022年11月20日 10:52
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宅配便業界の「働き方改革」その後…ブラックな労働環境は変わったのか?

ヤマト運輸はまだ良いほう? 物流業界全体の問題

 関西にあるヤマト運輸営業所のドライバーAさんは、「(ネット通販大手アマゾンの特別セール期間)プライムデーは、めちゃくちゃ荷物が多かった」と語る。  ヤマト運輸は’16年12月にドライバーへの残業代の未払い、今年5月にパート従業員の勤務時間改竄と賃金の未払いが労基署から指摘された。今年9月には労使協定で定めた残業時間上限(1か月95時間)を超える月102時間の残業を違法にさせていたとして、福岡地検に書類送検されている。  Aさんから相談を受けた坂倉さんは、ヤマト運輸での長時間労働の実態について次のように語る。 「Aさんの場合、上司からの圧力によって未払い賃金を約1年間分しか申請できませんでした。Aさんの営業所では、社内に『働き方改革室』が設置された’17年2月以降も、1日あたりの労働時間は長いままです。月の半分程度は朝7時半から19~22時まで、約11~14時間の労働をさせられています。お中元シーズンの7~8月は、半分以上の日数で約12~15時間勤務でした。1か月あたりの平均時間外労働も長く、’17年2月以降は月40~60時間ほどでしたが、7月は70時間、8月は過労死ラインである月80時間を超えていました。休憩時間も連続1時間を取得することは不可能で、15分の休みを4回取るくらいしかできません」  さらに、宅配便がいつ届くかを指定できる「時間指定」は便利だが、ドライバー泣かせでもある。 「例えば19~21時指定だと、ドライバーの仕事が終わるのは21~22時ごろ。これが長時間労働の要因の一つとなっています」(坂倉氏)  こうした労働環境はヤマト運輸だけのものではなく、物流業界全体が抱える問題だ。 「むしろ、ヤマト運輸はまだ良いほうかもしれません。宅配業界は重層的な下請け構造にあり、大手から下請けしている業者はさらにブラックな労働環境にあるのに、実態が表に出てこないのです」(同) ― [ブラック企業]が減らない理由 ―
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