雑学

宅配便業界の「働き方改革」その後…ブラックな労働環境は変わったのか?

政府は「自分らしく働く」というスローガンのもと「働き方改革」を推進している。しかし実際の労働現場では、さらなるブラック化が進行中。消費者が求める「便利さ」の陰で、多くの人々が過酷な労働に苦しんでいた!

より便利になる宅配便の陰で苦しむドライバーたち


物流 時間外指定、再配達など、きめ細やかなサービスがウリの宅配便。その「より早く、安く、確実に」という便利さが、従業員たちを苦しませている。厚労省は「過労死が特に多い業種の一つ」として自動車運転従事者を挙げているように、物流業界にはブラックな労働環境が蔓延しているという。

 こうした批判を受け、宅配便業界大手のヤマト運輸は今年から過去の未払い残業代を支払い、長時間労働を削減するなどの「働き方改革」を進めている。また配達指定時間の変更、運送料の値上げなどにも踏み切り、一定の成果を上げているように見える。果たして、労働環境はどう変わったのか?

 ブラック企業対策に取り組む団体「ブラック企業ユニオン」の坂倉昇平氏は「確かに会社として掛け声をかけ、努力はしているのですが、現場はまだ追いついていません」と指摘する。

「ヤマト運輸の関西の営業所では、36協定(時間外労働及び休日労働に関する協定届)での残業時間を80時間から90時間に拡大していました。しかも、そのことを責任者が把握しておらず、指摘されて初めて気がつくというありさまです。残業時間を削減するのではなく、残業限度を長くして『協定の範囲内』とすることは、労働環境の改善とは言えないでしょう」(坂倉氏)

 ほかにもある。

「労働基準法では、1日8時間、週の労働時間で40時間を超える場合は残業代を払わなければならないと定められているのですが、ドライバーたちは1日8時間に収めるために休憩時間を削られています。『休憩時間が短くて食事を取ることもできない』という話もよく聞きます。こうした変形労働時間制の導入により、1日あたりの労働時間が長くなるという問題もあります。これは、1日の労働時間が8時間を超えても、週全体で40時間を超えなければ、法定労働時間の枠内とできるというものです。しかしドライバーにとっては、1日あたりの仕事がきつくなるのに、残業代が出ないという問題があります」(同)
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ヤマト運輸はまだ良いほう?物流業界全体の問題

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