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釣りを仕事にすること…“怪魚ハンター”と呼ばれる男はこう稼ぐ

裏方だった経験が活きている

 小塚氏は、裏方をベースに20代前半を過ごしたが、そこでメディアに出て仕事をするうえでなにが重要なのか学んだという。 「ヒマであること。スケジュールがとりやすい人ってのは、重要みたいですね(笑)。それは半分冗談としても、僕は旅を重ねる中で必用最低限の英語を話せるようになり、雑誌ライターの仕事を通して、それなりに写真も撮れるようになった。魚をどうすれば大きく、カッコよく撮れるか普段から研究しているので、例えばテレビ番組でのスチール写真なんかは、普段魚を撮らない他ジャンルのプロカメラマンさんよりも、僕の方が上手いかも。魚の写真に関してだけは、ですけどね」  メディアの懐事情が厳しくなった昨今、釣りプラスアルファの働きができる小塚氏は重宝された。 「例えば、テレビ番組の依頼に対し、予算や期間、季節、バラエティーかドキュメンタリーか、タレントさんの事情(女性の場合トイレの問題が出てくる)などを総合的に判断し、最適解を提案します。現地では、釣りには100点を目指しますが、ちょっとした英語通訳や、釣れた魚の解説、その調理まで……釣り以外も80点で対応します(笑)。学生時代、居酒屋でバイトしてたので、見栄えのする盛り付けなんかも、それなりにはできるわけです。釣り以外はすべて、“それなりに”、なんですけど、実際の現場は全て100点を求められることばかりでもないようで……過去には放送作家として、番組のナレーション原稿を書いたこともありますよ(笑)」  小塚氏は釣りのスペシャリストだが、それ以外の部分で、メディアが仕事しやすいジェネラリストなのだ。 「20代後半になると自身が表立つことも増えましたが、出演者ではない裏方を経ているから、どうしたら撮ってもらいやすいか、まず考えちゃう。単なる出演者ではなく、スタッフといっしょに、絶対ハズさない段取りに知恵をしぼることが楽しい……そんなこんなで、いろんな仕事をいただけているのかもしれませんね」 <取材・文/藤井敦年>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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怪魚大全

世界49カ国、1075日をかけて釣り上げた驚きの怪魚・珍魚の数々。命を賭し、青春を竿にかけて真っ向から勝負したモンスターたちの全記録。TBSテレビ情熱大陸ほかテレビやネットでも話題の怪魚ハンター渾身の最新作! 

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