オフ会を開く人参加する人の心理を専門家が語る!
―[[世にも珍しいオフ会]潜入ルポ]―
オフ会を開く人参加する人の心理を専門家が語る!
オフ会というひとつのコミュニティが現れて久しいが、なぜここまで活発化するものなのか。これに対し、「出会う人がほぼ初対面であるという安心感を求める人たちが増えているからです」とは日本人のコミュニケーションのあり方に詳しい哲学者の萱野稔人氏。
「産業構造の変化で日本は今、高いコミュニケーションスキルが要求されるようになっています。生産拠点が海外に移転されたことで国内では本社機能の特化が進み、マネジメントや営業などお金を生み出すものはどれも高いコミュニケーションスキルが必要とされるものばかり。オフ会にハマる人たちは、そんなハードルの高さに気後れし、リスクを避けハードルの低いコミュニティを望んでいるのでしょう」
しかし、オフ会は逆にハードルが高そうな気もするが……。
「空気が読めなかったり、トークがさえなくて疎外されたり傷ついたりするのは、むしろ密な人間関係のほう。だからといって、人と繋がっていたいし、ネットだけでは我慢できない。オフ会のような初対面の人だけが集まる会なら、お互いに気を遣うので、最初から毒づく人もいない。個人の素性はわからなくてもとにかく安心していられる場所なんだと思います。また、何かに参加するという行為自体が、『人並みにオレは楽しんでいる』という満足感に繋がる面もあるでしょう」
一方、毎週のようにオフ会を主催する人たちはどうなのか?
「出会い系のパーティーであれ、オフ会であれ、主催者が得するようにできています。全ての情報を握ることができ、金銭的に多少なりとも利益がある。また人を集めたり、動かす快感もあるでしょう。そして自分がいなければこの人たちは出会えなかっただろうということで存在意義を確認することもできる。自分の格を上げられるんです」
誰だかわからない人たちの中で評価を得て満足できるもの?
「もちろんリアルな社会の中で自らの格を上げられれば一番いいんですが、それはなかなか難しいことですから」
生きづらい世の中である……。
【萱野稔人氏】
’70年、愛知県生まれ。哲学者。津田塾大学国際関係学科准教授。
著者に『国家とは何か』『『「生きづらさ」について-貧困、アイデンティティ、ナショナリズム』(共著)
取材・文/SPA!オフ会潜入班
― [世にも珍しいオフ会]潜入ルポ【13】 ―
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