メイクスペースの奪い合いが激化
女性のトイレ時間が長い理由の一つは、化粧を直しているからだ。しかし、化粧直しをするのも苦労がある。
「洗面台に化粧直しの後のコットンや綿棒がそのままにしてある。メイクポーチを置くと汚れが付いてすごい困る。
ポーチを口にくわえながら化粧をなおすこともある」(飲食・25歳)
写真ではわからないが全体的に濡れており、メイクポーチが置けない。傘用の取っ手にもゴミが。
「小さい駅のトイレは化粧直しのスペースがないことがほとんど。誰もいなかったので個室の中で化粧を直していたら、出てきたときに一人待っててすごい睨まれた」(35歳・IT)
「洗面台の前に陣取って化粧している人を見るとイライラする。『手を洗いたいんですけど』って言ってやっと横にずれたおばさんがいた」(27歳・広告)
「歌舞伎町や六本木など繁華街近くにあるトイレは、OLからキャバ嬢への変身メイクをする女性で混み合う。私自身も昼の会社では薄化粧なので、キャバクラ出勤する前に上野駅のトイレで塗りたくっていた」(26歳・人材)
化粧直しそのものだけでなく、スペースを確保するにも時間がかかる。男性がいらつくのも無理はないだろう。
LINE返信、パズドラ、SNSの投稿まで。個室ゆえにスタバ的利用も
ゴミ箱からゴミが溢れている
化粧直しの他にも、女性のトイレが長い理由はさまざまだ。公衆トイレは、事実上スタバのように使う女性も少なくない。
「便器に腰掛けると落ち着くので、つい考え事をしてしまう。席に戻ったとき『酔った?もしかして吐いてきた?』と言われたことがある」(26歳・医療事務)
「ストッキングは脱ぎ着に時間がかかるので、トイレが長いのは仕方ない。慌てて脱ごうとすると爪に引っ掛かって破けるし」(34歳・銀行)
「友達のトイレを待ってる間instagramのSTORYを眺めていたら、そのコのアカウントからさっき食べたスイーツの動画がアップされていた。
遅いなって思ったらSTORY更新してたのかよってなる」(21歳・学生)
「トイレの列に並んでいる間にLINEの返信を始めると、だいたい終わらなくなって、個室に入ってからもスマホをいじり続けることになる」(24歳・広告)
「上司と食事をしているとき、席に戻りたくないのでトイレでパズドラしてたことがある。トイレが混んでましたって言っておいた」(24歳・不動産)
会社の女子トイレは仮眠室
一方、会社の女子トイレでは、他とは違う光景が見られる。
「眠いときは、トイレに閉じこもって寝ている。
同僚と鉢合わせると気まずいので、他会社のフロアのトイレを使います。下の階の会社は女性が少ないため、昼寝がはかどる」(29歳・広告)
「眠すぎて意識が飛びそうになるとトイレで5分くらい仮眠を取っていたのですが、移転したビルのトイレは一定時間人がいないと自動で電気が消える仕組み。寝られなくなった」(26歳・出版)
このようなことは、個室が多い女子トイレならではとも言えるが、事情を知らない人からは不審に思われることも。
「会社のトイレは4つある個室のうち、いつもどこかが使用中。私が他の個室に入って出てきて、化粧を直し終わってもまだ閉じている。物音ひとつしないのですごく不気味」(32歳・証券)
「トイレの電気をこまめに消す文化がある会社なのですが、たまに確認しないでスイッチをOFFにする人がいる。本当に真っ暗になるので、トイレットペーパーの位置もわからず、次の人が来るまで暗闇でじっとしてたことがあった。向こうも人がいると思わなかったので驚かれた」(29歳・メーカー)
「休日出勤していたとき、
トイレに行ったら2時間後も同じ個室が使用中になっていた。さすがに不審に思って下から覗いたら同僚が倒れていて、慌てて救急車を呼んだことがある」(出版・33歳)
贅沢なトイレ空間を売りにしている商業施設も
女子トイレのゴミやメイクスペースの取り合いなどに対する声が多く聞かれたが、その一方で最近はトイレに力を入れる商業施設も増えている。
「有楽町や池袋のルミネのトイレは内装がおしゃれすぎて、一時期私たちの間で自撮りスポットになっていた」(26歳・銀行)
「
ヘアアイロンやコテ用にコンセントがあるトイレが増えたので、スマホを充電しながら待ち合わせ時間まで暇をつぶすこともある」(22歳・学生)
長い、汚い、待たさせる。
女子トイレには、男性には決して想像もつかない“見たくない世界”が広がっていたようだ。<取材・文/日刊SPA!取材班>