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年収280万円、“貧乏シェアハウス”に住む教師。非常勤の貧困スパイラル

日本の相対的貧困率は15.6%――。この数値は本当に真実を語っているのか。東京と地方では年収や生活水準が異なるにもかかわらず、これまで一緒くたに語られてきた貧困問題。東京型貧困と地方型貧困に分けて考えたとき、日本のリアルが見えてきた! 今回は、仕事の宝庫と言われるも、物価高に苦しむ東京型貧困の実態に迫ってみた。

シェアハウス

※写真はイメージです(以下、同)

1部屋に5人で生活。現代の“ドヤ”に生きる私立高校教師

――貞方 実さん(仮名・31歳/独身)・非常勤講師・年収280万円

 獣臭に満ちた室内。冷房が機能していない薄暗い部屋に進むと、ムクッと人影が立ち上がった。

「あ、この人がうちのボスです」

 貞方実さんの指さす先に立っていたのはふんどし姿の男だった。

「彼はうちの物件の借り主で、本業はふんどし販売員。この物件は民泊もしているんですが、旅行者を迎えるときもふんどし姿なので、たまにドン引きされますね」

 貞方さんが住む物件は現在、東京都内で現代の“ドヤ”と呼ばれる格安シェアハウス。2段ベッドが置かれた部屋に合計5人で居住し、月3万5000円。余ったもう一部屋にも2つの2段ベッドを設置し、一日一部屋4500円で民泊営業している。

汚部屋「僕は私立高校の非常勤教師をしているんですが、週3回の勤務で月収は手取り15万円弱。これだと生活が苦しいので、週2回塾講師のアルバイトをして生計を立てています。少しでも出費を減らそうと、旧知のふんどし屋に相談したところ、今のシェアハウスに流れ着いた。本当は早くここから出たいんですけどね……」

 貞方さんが教える科目は生物と物理。東京都の高校教員採用試験に落ち、終わりのない貧困への道を突き進むことになる。

「高校教師は希望者が多く、買い手市場。なかなか正規採用者にはなれません。僕の周りには派遣教師がいて、週2はA高校、週3はB高校と指導先を転々としている人もいる。紹介料を業者に中抜きされているので、僕よりも貧困ですよ。生徒とも触れ合えない彼らを見ていると、まだマシなのかと思います」

 唯一の楽しみは、民泊利用者と仲良くなり、近くの銭湯に行くこと。取材当日も仲良くなった中国人旅行者の一人とこれから遊びに行くという。貧困者が集うシェアハウスながら、少し居心地がよさそうな貞方さんの将来が不安だ。

― 東京vs地方 貧困のリアル ―




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