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フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<あとがきEpilogue>

 この連載“レジェンド100”の第90話から第100話にかけて登場したWWEスーパースターズは現在進行形のプロレス史にもリンクしている。  ゴールドバーク、カート・アングル、クリス・ベンワー、エディ・ゲレロ、クリス・ジェリコ、ランディ・オートンといった顔ぶれだ。  エディ・ゲレロの突然の死、クリス・ベンワーの悲しすぎる最期は、アメリカと日本のプロレスファンに大きな衝撃を与えた。ふたりとも若手時代を日本のリングで過ごし、アメリカではECWとWCWを経由し、大河ドラマの最大のクライマックスとしてWWEでチャンピオンの座に輝いた。  プロレス史にその名を刻み込んだサクセス・ストーリーだっただけに、その結末はあまりにも不条理だった。  エディとクリスの死は、プロレスラーとしての人生がふたりのまじめな男たちの実人生をテイクオーザーしてしまったきわめて残酷な実例ということになるのかもしれない。  プロレスラーとしてのキャリアではエディとクリスの後輩にあたるが、このふたりと同世代のクリス・ジェリコは、プロレスラーとしての成功をロックンローラーとしてのもうひとつのアイデンティティーに変換し、ロックンローラーとしての体験をもういちどプロレスのリングに持って帰ってきた。  “世”と“死”を分けたものがいったいなんであったのかはわからない。エディはエディの、クリスはクリスの、ジェリコはジェリコの生きざまをすべてのプロレスファンとシェアした。  プロレスを観つづけるということは、きっとプロレスラーの“世”と“死”を目撃しつづけることなのだろう。感動や夢や希望を共有できる瞬間もあれば、悲しみや痛みや絶望を受けとめなければならない瞬間もある。  ぼくは、ぼくがいまプロレスをエンジョイしているかどうかを自分に問う。これからもプロレスを愛せるかどうかを。ずっと、いつまでも、Always――. 2018年6月 斎藤文彦 ☆お楽しみいただきました連載コラム『フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100』は全100話を終了いたしました。ご愛読ありがとうございました。また新しい企画でお会いできることを楽しみにしています。
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