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ダルいのは夏バテか「夏季うつ病」か?薬で悪化することも

夏季うつ病の疑い

夏季うつ病の疑いをもって精神科を訪れる患者は多い。しかし、不調の原因が心にあるのか、体にあるのか見誤ると症状はさらに悪化する

夏季うつ病、問題は心?体?うつ病の治療薬で悪化する危険性も

 夏場には体だけでなく心の不調が起こる例もある。特定の季節に抑うつ状態を発症する「季節性感情障害」のひとつ、夏季うつ病だ。 「一般には冬季うつ病が知られていて、夏季うつ病は稀とされています。症状は冬季とは反対で、食欲不振や不眠、焦躁感などが出やすいとされていますね」  そう話すのは三田こころの健康クリニック新宿の生野信弘院長。まさに夏バテのような症状で、夏場の心療内科ではこの種の症状を訴える人も多いそう。だが生野氏は「これは社会的な状況や気候の変化で起こる症状で、うつ病とは違うものではないか」と見ている。 「環境の変化にうまく適応できないことが『夏季うつ病』の正体だと思います。実際、夏季うつ病の症状は適応障害の症状と似ています。新年度の社会環境の変化後は、5月病になる人もいるように、心身が疲弊しやすい。梅雨には代謝は下がって体も夏のモードになります。そして高温多湿で汗をうまくかけず、体温を下げづらくなり、内部環境も乱れる。さらに冷房病も重なってと、不調の原因がたくさんありますから」  実は適応障害の人に抗うつ薬や抗不安薬を出すと「症状は100%悪化する」そう。夏バテとも見分けづらく、自己判断で「夏季うつ病だ」と訴えて薬の処方を求めると、逆に症状が悪化する危険があるのだ。 「まずは体から整えてみるべきです。室温・湿度などの環境調整をしながら、睡眠の安定に取り組みましょう。冷房を浴びた体は自律神経が乱れているので、軽い散歩で体の熱を上げ下げする習慣をつくるのもいいですね。心療内科を受診するなら、体も診て生活指導もしてくれるところや、漢方を使うところがオススメです。それでも改善が見られないときは、補助的に薬を使うのもいいでしょう」  心と体では対処法も変わるので、不調の原因は多角的に調べよう。 取材・文/鼠入昌史 古澤誠一郎 加藤カジカ 林 泰人(本誌) ― 死を招く[キラー夏バテ]の正体 ―
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