40歳男を襲った悪夢の転職。入社1か月半で「この会社、ヤバいかも…」
「あの頃は希望に満ちて転職したのに」とがっくりと肩を落とす藤井康成さん(仮名・当時40歳)。
メーカーの営業職に就き、課長代理まで出世したが、憧れのアパレル業界で活躍できることを諦めきれなかった藤井さんは、妻の反対を押し切って、念願の会社に転職した。「ところが40歳で人生最悪がやってきたんです」。一体、何が起こったのだろう。
「40歳で転職だなんて、バカげていると、妻にも友人らにも言われましたが、私にとってラストチャンスだったんです」
昔から働きたいと思っていたアパレル業界。藤井さんは40歳になってから、「このままでいいのか。後悔しないのか」と考えるようになった。
「憧れのアパレルブランドがあったんです。そこの店舗の新店は行列ができるほどの賑わいで、店内は雑貨売り場が迷路のようになっていて。一種のアミューズメント空間でした」
この会社が手がけるアパレル商品のファンだった藤井さんは、その店舗を見てますます惹かれていった。
「若い会社で面白いことを次々と形にして、しかも勢いがある。成長を続けるこの会社と一緒に働きたいと思うようになったんです」
大卒で入社したメーカーで職場結婚をした藤井さん。これまで会社に不満を感じたことがなく、それが逆に「自分の成長にならない」という軽い危機感を招いていた。
「結婚してから7年。幸か不幸か妻との間に子供はなく、転職にそこまで躊躇を必要としていない環境でした」
そんなときに、あの「憧れのアパレル会社」が求人募集をしていた。
「“いつ転職するんだ、今でしょ”。まるで神のような声が聞こえたんです」
無我夢中で履歴書を送付すると、書類選考が通り、面談にこぎつけた。藤井さんはそこで『これまでの営業のノウハウを生かしたい』と必死に訴えた。
「『勢いがある人を採用したい』と面接官から言われ、結果がわかるまでドキドキしていました。採用の知らせが来た時には、万歳三唱です」
転職を反対していた妻も、採用が決まると「応援する」と約束してくれた。初出社日、藤井さんは意気揚々と新しい職場へ。ところが会社は、既に倒産のカウントダウンを奏でていたのだ。
40歳で憧れの企業に転職
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