発達障害“グレーゾーン”な人たちの声 「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」
昨年12月末、東京・神保町の「書泉グランデ」で『発達障害グレーゾーン』という新書の刊行記念イベントが行われていた。壇上に座っている3人は、著者の姫野桂氏、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」などを運営するLITALICOの鈴木悠平氏、軽度の発達障害特性に悩む人の当事者会の支援団体「OMgray(オムグレイ)事務局」代表のオム氏の3人だ。会場は満席で、80人ほどはいるだろうか。今回は発達障害における“グレーゾーン”と呼ばれる層について、登壇者自身の経験を交えながらイベント参加者との交流が行われた。
「大人の発達障害」という言葉を聞くようになって久しいが、実はそのなかに「グレーゾーン」と呼ばれる層がいることは、これまでほとんど知られてこなかった。
発達障害グレーゾーンとはつまり、発達障害だと医者から診断された人が「クロ」で、定型発達(健常者)を「シロ」としたときに、その間にいる人たちのことだ。診断される人に比べると発達障害の症状がかるいので、医師からはっきり「あなたは発達障害です」と診断されない。「グレーゾーンは障害者手帳がもらえるわけでも、障害者雇用で働けるわけでもなく、ある意味で一番支援が行き届いていない層」と、檀上の姫野氏は説明した。
会場に詰め掛けていた参加者の人たちは、程度の差はあれ、ほとんどが発達障害で苦悩している人々だ。
そして、かくいう僕もその当事者の一人である。何度確認しても忘れ物をするし、出発の何時間前に起きてもなぜか遅刻してしまう。障害者手帳こそ持ってはいないが、そんな悩みを抱えて病院で検査を受けた結果、「(発達障害の一種の)ASDの傾向がある」と医師から言われた。いわば、ほぼ「クロ」の「グレー」ということになる。
それがわかったのが、このイベントに参加する3か月ほど前。医師から「傾向がある」と言われた後も、自分の発達障害の症状とどう向き合っていいのかわからなかった。だからこそ今回、この会場を訪れて自分が何を感じるのか……。正直、期待感と不安が入り混じっていた。
このイベントでは、発達障害の特性を持つ人からの質問や感想をハッシュタグ付きでツイッターに投稿し、その投稿について登壇者の3人がコメントするという時間が設けられていた。質問タイムがはじまると、ツイッターでは次々に質問が投稿されていく。
会場にいる人たちだけじゃなく、事前告知などでこのイベントを知っている全国の人が、檀上の3人に質問しているようだ。そんななか、ついに僕の投稿も読み上げられた。
僕の悩みに対し、登壇者が回答してくれた
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『発達障害グレーゾーン』 徹底した当事者取材! 発達障害“ブーム"の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る |
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