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発達障害“グレーゾーン”な人たちの声 「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」

「朝起きたらすぐに今日一日のタスクを紙に書き出すようにしているのですが、ひとつでもその通りに物事が進まなかったらその日一日なにもやる気が起きなくなります」  それに対して登壇者たちは「一日のタスクを書き出すことはすごくいいことですよね。でも、この方はイレギュラーな予定に対応できないということなので、スケジュールに余白を作るようにすればいいと思います。きっとパンパンに予定を詰めてしまっているのではないでしょうか」と答えた。私は思わず言葉を失った。まさしくその通りだったからだ。  また、姫野氏らのアドバイスに感心するとともに、僕の投稿が読み上げられたという事実がとても嬉しかった。僕は、自己肯定感がとても低い。だから「こんな投稿きっと読み上げられないんだろうな」という気持ちと、「でも読み上げられたら嬉しい」というアンビバレンスな感情を抱えながら、この質問を投稿していた。
発達障害グレーゾーン

ツイッターを通してさまざまな質問が登壇者に投げかけられた

 僕と同じような心情を持った人のケースが、姫野氏の著書『発達障害グレーゾーン』でも紹介されていた。その人は40代の女性で、発達障害によって組織に属することが合わないことや、得意な言語能力を生かすことができるということからライターとして活動している。ただ、自己肯定感が低く「私には価値があるのだろうか」と日々悩んでいるという。性別や年齢こそ違うものの、症状も境遇もほぼ同じ。僕だけじゃないんだ――そう思えただけでも、この本を読んだ価値があったと思う。  同著の巻末には、姫野氏が取材を行った発達障害の方々の“自分なりの「ライフハック」”が紹介されている。仕事でのケアレスミスを少なくする方法や、メモや電話が苦手なときの対処法、忘れ物をなるべくなくす方法など、そのどれもが目から鱗で、また皆それぞれが自分の障害と向き合い、模索しながら生きているんだと感じる内容だった。  発達障害自体は一生、治ることはないと言われている。今回のイベントに参加し、また『発達障害グレーゾーン』を読んだことは、自らの障害を受け止め、いかに障害と共に生きていくべきかを考えさせられる、いいきっかけになったと思う。デコボコの自分をどう生かすかも、結局は自分次第なのだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班 写真提供/LITALICO発達ナビ>
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発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害“ブーム"の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る

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