雑学

猫組長が語る“マザー・テレサと人身売買を結ぶバチカン銀行の闇”とは?/『ネコノミクス宣言 完全版』発売記念

 元経済ヤクザ・猫組長氏による国際金融、マネロン、麻薬ビジネス、果ては人身売買など、衝撃の真実が綴られるSPA!連載中の『ネコノミクス宣言』。3月5日(火曜)に、相方を務める西原理恵子氏によるカラー漫画を掲載した“完全版”が発売された。これを記念して、本書に収録されているエピソードを公開。今回は買うがいの“人身売買の闇”についてだ。

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マザー・テレサと人身売買を結ぶバチカン銀行の闇

(『週刊SPA!』2018年8月7日号掲載)

 インド東部にあるジャカルカンドで乳児を売買した容疑で、修道女らが逮捕された。マザー・テレサが創設したミッショナリーズ・オブ・チャリティ(神の愛の宣教者会)でのことだ。インドは中国と並び、人身売買が盛んな国である。ミッショナリーズ・オブ・チャリティの場合、収容者の子供を養子として売ったもので、臓器移植用の人身売買ほど悪質ではない。

 インドで売買される乳幼児の仲介には、カトリック系の団体が絡んでいるケースが多い。慈善団体という隠れ蓑としての使い勝手もあるが、その性質から子供を多く扱うからだ。世界中に張り巡らされたカトリック教会のネットワークも重要な役割を担っている。

 マザー・テレサほど偽善によって虚像が作られた人はいない。彼女が創設したコルカタのホスピスなど、多額の寄付を集めながら、ボランティアにカネを払わせて働かせている。一般の人が持つイメージとその実態には、大きな隔たりがあると私は思う。

 マザー・テレサが創設した施設や団体は世界中に140もある。その集金力はすさまじく、著名投資家から独裁者までスポンサーも多数だ。

 集められた資金を管理するのはマザー・テレサ財団で、そのカネを運用するのが宗教事業協会、通称・バチカン銀行だ。

 カトリック教会は、今や世界中に12億人の信者を誇る。その総本山であるバチカン銀行に、信者の上納金が集まるのだ。

 バチカン銀行はバチカン市国の資金管理団体であるとともに、主権国家の中央銀行に相当する。だから各国の捜査機関も、なかなか手出しができない。いわば、アンタッチャブルな存在なのだ。

 その特性から、バチカン銀行はマフィアやアンダーグラウンドな犯罪組織と親和性が高く、不透明な金融取引が問題視されるようになったのである。

バチカン銀行を巡って続々と死者が出た


 事態を重く見たヨハネ・パウロ1世は、バチカン銀行の改革を表明したが、目的を果たすことはできなかった。ローマ教皇に就任して僅か33日後に謎の死を遂げたのだ。

 その後も、バチカン銀行の投資運用を行っていた、アンブロシアーノ銀行頭取、ロベルト・カルヴィや、捜査に関わった検事や捜査官などが次々と暗殺・不審死を遂げた。こうしてバチカンの闇は深まっていったのである。

「神の資金を扱う銀行」であるバチカン銀行には、大きな収益事業にマネーロンダリングがある。

 米国債でもイタリア国債でも、バチカン銀行に持ち込めば、10%の手数料で指定の口座へ現金を入金してくれる。国債は嵩張らないので、高額を移動させるのに最高のツールだ。

 唯一の問題点は、国を跨いでの換金が難しいことである。プライベートバンクを使い、ベルギーの決済機関・ユーロクリアで売却する手法もあるが、手間の割にリスクが高い。

 その点、主権国家と宗教が結託したバチカンは、国債やその他の有価証券を利用したマネーロンダリングに最適なのだ。

 バチカン銀行の職員は、もちろんカトリックの聖職者である。彼らは神の名のもとに、徹底した守秘義務を実践する。これもマネーロンダリングを行うのに都合がよい重要な要素だろう。

 バチカン銀行は正に聖域なのだ。ところが、そんな神の資金を扱う銀行に’09年、イタリア当局がマネーロンダリングの疑いで調査のメスを入れた。

 イタリアのカトリック系メガバンク、ウニクレディトを使い、慈善団体の資金を洗浄した容疑だ。

 この事件は、国際金融に関わる者だけでなく、宗教界にも衝撃をもたらした。バチカン銀行とマザー・テレサの闇については、次週で詳しく触れたい。


猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言 完全版

第1話~100話まで、カラー漫画もすべて掲載した『完全版』として再登場


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