「あ、先輩。トイレから戻ろうとして迷ったら、声をかけられたんです。一緒に飲んでたら、すっかり時間が経つのを忘れてしまって」 　美咲さんは一生懸命に柴田さんらを庇ってくれた。だが強面の男たちは、彼女を無視して、「オレの可愛い女にちょっかいだそうとしただろ、こっら～」と友達の胸ぐらをつかんだ。 「友達はひたすら謝り、『もうしません』と涙声で訴えました。僕ら全員も平謝りしましたが、強面男に許してもらえず、宴会の酒と未開封のつまみを全部差し出せと言われて。しぶしぶ渡しましたよ」 　言うまでもなく、花見は中断。柴田さんたちは泣く泣く近くの居酒屋へ。 「あんな可愛い子がなぜあんな男のいる会社に？」「あの会社入りてえなあ…」「いや、あのヤクザ風が上司だぞ…」 　男たちの悲しいヤケ酒は、朝方まで続いたという。＜取材・文／夏目かをる＞コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛＆婚活＆結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆～恋、のような気分で♪」