海外での日本のTV番組 “翻訳”ではなく“改ざん”されていた!?

【アニメ ほか】

おしゃべりなケンシロウ!? 改ざんがされていた時代を経て……

 アニメの場合、ひと昔まえは誤訳というより、むしろ”改ざん”呼べるほどの変更がまかり通っていた時代があった。アニメに詳しいライターの柿崎俊道氏は言う。

「フランスで放送された『北斗の拳がコメディでした。暴力シーンを大幅カットした上に、吹き替えがいい加減。ケンシロウがシーンと関係ないオヤジギャグを延々としゃべりまくってましたよ」

 フランスのオタクたちはのちに来日し、『北斗の拳』の真のストーリーを知って驚愕するんだとか。

 日本のオタク文化に詳しいパトリック・マシアス氏も、日本製アニメや特撮番組に夢中になった少年時代を振り返って憤っている。

「78年に放送された『ガッチャマン』は、当時のスターウォーズ人気に便乗しようと宇宙が舞台の話にされていて、R2-D2もどきのロボットも追加されていた。『宇宙戦艦ヤマトでは、古代進がデレク・ワイルドスターなんてアホな名前にされてたしね」

 とはいえ、それも昔の話で、今では徹底したオリジナル重視に変わっているという。

「『崖の上のポニョの英語版では、あの主題歌に有名アイドル歌手を起用したんです。本家よりむしろウマかったけど、ファンは激怒。ネットでも大騒ぎになりました。オタクはオリジナルにはこだわりますから」(パトリック氏)

「メイドインジャパン」が、今やひとつのブランドとして認知、さらに、日本製であることがウリとなるのはアニメの世界でも同様。しかし、アメリカ在住の映画評論家・町山智浩氏は日本製アニメの放送時間帯の変化も大きいという。

「変わらずアメリカの子供向け番組は暴力や裸などに関して描写の規制は厳しいですよ。ただ、日本のアニメは今ほとんど深夜枠で放送されるから暴力、宗教、セックスなど、過激なネタも全然OK。『クレヨンしんちゃんは最初、子供向けで放送されたから、チンチン出したり、オカマごっこするシーンが全部カットされて大失敗したんだけど、深夜枠にノーカットでやったら人気が出ましたよ」

 ちなみに、ワザとメチャクチャな吹き替えをするパターンもある。『風雲たけし城』は公募の一般人がたけし城を目指して様々なゲームをする番組だが、アメリカ版ではチーム対決という形で編集されていた。しかも、「例えば看守VS死刑囚チームとか。たけしさんが資料を見ながら『この田中さんは一見マジメそうですが、前科15犯の連続強盗殺人犯です』なんて言ったり」(町山氏)しているんだとか。勝手な吹替えであることは明かしているというが……当時、竜神池にチャレンジした参加者は、今になってアメリカでそんなことになってるとは、思いもよらないだろうに。

【アメリカ】
『MXC:MOST EXTREME ELIMINATION CHALLENGE』(Magnolia)
『風雲たけし城』


TBSで86年から放送された視聴者参加のバラエティ番組が世界中で大人気に。アメリカでは『MOST EXTREME ELIMINATION CHALLENGE』の名前で DVDが発売。「参加者はただの一般人なのに、看守vs囚人とか、カウンセラーvs中毒患者とかチーム対抗にして、勝手に吹替えをつけているんです。これによって、『日本の番組はすごい』と言う認識が広がり、日本の架空の番組にチャレンジするといったバラエティ番組がアメリカで制作されたりしています」(町山氏)

【アメリカ】
『Battle of the Planets』
『科学忍者隊ガッチャマン』


アメリカでは’78年に放送。R2-D2によく似たロボットが登場しガッチャマンをナビゲート。「ガッチャマンは侵略者と戦う宇宙戦士で、しかも、キャラの名前も全部変更。大鷲のケンはマーク、コンドルのジョーはジェイソン!! しかも、ケンとジョーが卓球をして暇つぶしをしてるんだ。あり得ないでしょ。この時期はアニメの改悪がまかり通っていた暗黒時代なんだ」(パトリック氏)

― 日本の名作[海外珍訳・誤訳]コレクション【2】 ―




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