更新日:2023年03月20日 11:23
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枠、血統だけじゃない!競馬予想のプロが競馬新聞でチェックするポイント

 枠順・血統・馬の戦績など、競馬新聞には膨大なデータが詰まっている。初心者の場合、「とりあえず印がいっぱい付いている馬にしよう」「過去の着順が良い馬にしよう」など、わかりやすいポイントに注目し買い目を決めるのではないだろうか。独自の予想データを蓄積するプロの予想家にとって、競馬新聞の情報はどういった意味をもつのか? TARO氏とナツ氏に、プロならではの情報の読み解き方を聞いてみた。 ――お二人は、競馬予想するときに競馬新聞って見ますか? ナツ:僕は新聞はあんまり見ませんねぇ……。 TARO:出た、新世代の発言(笑)。僕はネットの出走表だけだとイマイチ情報が頭に入ってこないので、必ず競馬新聞を見てますよ。(日刊スポーツを手に) ナツ:なんで日刊スポーツなんですか? TARO:ただ単に、実家でよく買ってたからっていう(笑)。どのツールを選ぶにしても、同じものを使い続けるっていうのが重要だと思いますよ。やっぱり同じものを見続けていれば変化にも気付けるので。 ――なるほど。競馬を予想し続けてきた中で、スキルも向上してるわけじゃないですか。予想を始めた頃に比べて、新聞で注目するポイントに変化はありますか? TARO:最初の頃は、「どの馬が勝つか」って考えて見るじゃないですか。今はどちらかといえば、全体を見て「このレースは荒れるのか、それとも堅いのか」っていうところを見ています。馬同士の相性とかを見渡せるのも、一覧になっているメリットですよね。普通に印も見ます。この「大混戦」っていうキーワードとか、ペースとかも、全体像を把握するのに役立ちますよね。 ――印も見るって、意外ですね。だれも印を付けていない中でポツンと付いてる◎を見ると、こいつはすごい情報を知っているんじゃないか? って思うけど、蓋を開けてみたら全くかすりもしない、なんてことが山のようにあるじゃないですか。あれ、適当に打ってるんじゃないですか? ナツ:意外とポツンと◎付けてる人は、競馬知ってるなぁって、納得できることもたまにありますよ。それよりも、毎回必ず1番人気に◎打ってるような新聞の重賞予想を見ると、「あ~あ、これはねぇわ」って思います。 ――一方のナツさんは、競馬新聞をあまり見ないんですよね。何を参考にされているんですか? ナツ:僕は、「JRA-VAN(※JRAの100%関連会社であるJRAシステムサービス株式会社が提供するJRA公式データを使った競馬情報サービスのブランド名称)」の指数が結構優秀だと思っていますね。あるとき、8番人気ぐらいの馬がスピード指数1位、対戦指数1位になってて、勝っちゃったんですよ。これ、マジですげぇなって。よくやっているのは、自分が狙ってる馬の指数が低い場合は気にしないですけど、自分が消そうとしてる馬の指数が高い場合は消さない、っていう使い方をしてますね。 ――指数のわりにオッズが低いってことがあるんですね。あんまりJRA-VANのデータは見られていないんでしょうか。 TARO:たしかに。僕見たことないです。自分しか信じてないんで(笑)。新聞でも予想家でもいいんだけど、たくさん情報を得るツールがあるなかで、自分に合ったものを見つけることは大事ですよね。 ――ナツさんは具体的にどのポイントに注目していますか? ナツ:やっぱり、誰も知らないようなデータは必ず見てますね。南井厩舎の新馬戦単勝回収率はめちゃくちゃ良い……。もちろん、普通に公表されているデータなんですけど。あと、「内枠が得意じゃない騎手」も見ています。たとえば蛯名、福永、戸崎あたりは外からのびのび走るほうが得意なんで。 TARO:ああ、あまりうまくない騎手がどういう時に来るかをピンポイントで調べるのも有効ですよね。ピンポイントでわかる騎手が新聞に載ってれば、穴を狙っていける。もちろん距離実績や得意コースなど、その馬が好走しているときの条件は今も昔も変わらず大事だと思います。

すべての情報を見る必要はない!

――とは言え、一般の競馬ファンのレベルだと、指数、厩舎、騎手、距離……ぜんぶ網羅するのは難しいですよね。 TARO:全部の要素を拾っていくと、結局、人気馬に行き着いちゃうからオイシくないんですよ。だったら、自分が得意な「1点にフォーカス」することをオススメします。たとえば返し馬だけ見るとか、データを見るにしても1つに絞るとか。とくにライト層にとっては、シンプルに考えられるやり方のほうが良いと思います。 ナツ:たしかに。僕、最近動画の企画で自分のやったことないギャンブルに挑戦してるんですよ。オートレースなんかだと、展示タイムの良い選手が人気するんですよね。だったらその逆を行けばいいじゃん! みたいな。本番と試走は全然違うんだから、慣らしで走ってる可能性だってあるし。だったらオイシイほうを選んで逆張り。シンプルでしょ。 TARO:逆を行くってところで言うと、中山マイルの外枠不利説も……最近はぜんぜん外枠も来ますからね。傾向はやっぱり変わっていくんだなぁって実感してます。先んじて潮流の変化を読んだ人が勝ちですよね。国際GⅠが買えるようになって4年目に入りましたけど、香港とかドバイは馬場傾向がわかりやすいので、日本馬が来ないレースなんかはまだまだオイシイと思います。 【TARO】 競馬予想ブログとしては屈指の人気を誇る『TAROの競馬』を主宰する気鋭の競馬予想家。最新の著書に『万馬券の教科書』(ガイドワークス)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(扶桑社)が発売中。 【ナツ】 弱冠20代ながら競馬歴24年という生粋の競馬育ちで、一撃回収の美学が持ち味。『予想家ナツの競馬予想ブログ』を主宰し、横浜で競馬ファンのためのバー『K-Sta』を経営している。Twitter:@natukeiba YouTube:競馬予想家ナツ 構成/野中ツトム、松嶋千春(清談社)
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